生物

総評と分析

問題ページ数・設問数・解答数が昨年よりも減少している一方で、図表の数は大幅に増加していることから、内容的に難しくはないものの、その読み取りに時間がかかる出題となった。


必答問題の各大問はA・Bに分割されることで、生物全分野から標準的な内容が幅広く出題されている。選択問題は、ミクロな視点から遺伝情報、マクロな視点から生態と進化の融合という大きく異なった捉え方からの出題となった。

問題分析

大問数 大問数は7で、第1問~第5問は必答、第6問・第7問から1題選択は昨年と同じ。
設問数 全設問数は29で昨年(32)より減少、選択によって設問数には差が生じなかった。
解答数 全解答数は35で昨年(37)よりやや減少、選択によって解答数には差は生じなかった。

問題量

  • 選択問題を含めて考慮すると、問題ページ数は29ページと30ページで、昨年(ともに32ページ)より若干減少した。それに対して、図・表・グラフの数は21または22であり、昨年(15または16)よりも大幅に増加している。また、組合わせ解答も14と昨年(10)に比べ増加している。選択肢数は昨年同様、9個の設問が2題出題されている。

出題分野・出題内容

  • 第1問は「生命現象と物質」から、第2問は「生殖と発生」から、第3問は「生物の環境応答」から、第4問は「生態と環境」から、第5問は「生物の進化と系統」から出題された。第6問と第7問は選択問題であり、第6問ではミクロな視点から「DNAの複製、遺伝情報の転写・発現」が、第7問ではマクロな視点から「複雑な種間関係、自然選択」が出題されている。
  • 第2問や第3問の突然変異体など、遺伝情報の発現に関連させた内容の出題が、複数の大問でみられた。
  • 第5問では、2015〜2017年でも出題された若干細かい知識を必要とする生物の変遷からの問題が出された。

出題形式

  • 第1問から第5問までの大問はA・Bの2分割形式であるのに対し、選択問題の第6問と第7問は分割されておらず、また配点も10点と少なかった。

難易度(全体)

  • 昨年並み。問題の分量は若干減少しているものの、図表の数が大幅に増加し、読み取りに時間がかかる内容であった。

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 光合成の過程 標準
B 9 生体膜での物質輸送 やや易

A:問1は光合成のしくみを解明したヒル、ルーベン、カルビン・ベンソンらの実験をテーマとした考察問題。光合成の研究史は教科書の「参考」で扱われているものの、リード文で実験内容が丁寧に説明されているため解答は難しくない。B:問3では2枚の生体膜をもつ細胞小器官について、問4ではチャネルとポンプでの物質輸送について、問5では様々な濃度の食塩水に浸したときの赤血球の変化について、いずれも標準的な知識を問う内容であった。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 8 三毛ネコの毛色の遺伝 やや難
B 10 植物の組織と器官の形成 標準

A:X染色体の不活性化(ライオニゼーション)の問題を解いたことがないと、リード文と図1の読み取りに時間がかかっただろう。問1は三毛ネコの毛色の遺伝を扱っているものの、内容は標準的な性染色体の遺伝の問題であった。問2は、核移植後に再びX染色体のランダムな不活性化が起こるため、異なるまだら模様になる。B:問3・4は、気孔密度に対するポリペプチドAとBの影響を調べた実験考察問題。問4は、図4で野生型より変異体Bの気孔密度が大きいことから、ポリペプチドBが気孔密度を低下させるはたらきをもつことがわかる。

第3問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 視細胞のはたらきと分布 標準
B 8 植物の成長に関する遺伝子 やや難

A:問1は暗順応に関する基本的な知識問題。問2は桿体細胞の分布から、夜空の星を観測する方法を考えさせている。問3の盲斑の位置を調べる問題は、図3が見慣れない図であり戸惑ったかもしれないが、光が水晶体で屈折してから網膜に受容されるという知識をもとに考えれば解答を選べただろう。B:問4の植物の成長に関する考察問題では、リード文が長いのに加えて図の数が5個と多いため読み取りに時間がかかったかもしれない。

第4問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 被食者の齢構成、被食者の個体数に及ぼす捕食者や餌の影響 標準
B 8 耐塩性と競争力の関係 標準

A:問1は、1988年から明らかに増加している1990年に対して、それらの年齢ピラミッドが同じ型という記述が幼若型を選択するヒントとなる。問2は、被食者は個体数が大きくなるほど捕食者や餌を発見しやすくなるという考え方が重要であり、それが図2のようにオオカミが多い地域の方がより多くの個体を維持できるという結果となっている。B:問3は、各選択肢をグラフごとに検証していけばよい。種Aは図3で最も塩分濃度が高いときに現存量が最も小さい、すなわち耐塩性が低いことがわかる。また、種Cは塩分濃度0%の時、図3から単植では最も現存量が大きく、図6から混植では最も現存量が小さいことがわかる。

第5問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 生物の分類 やや難
B 9 生物の進化 標準

A:問2・3は、(細胞内)共生を含んだ系統樹が題材で一見とっつきにくいが、最初に枝分かれすることよりドメインCは細菌で、それと破線でつながっていることよりドメインBは真核生物と判断できる。問3のエはドメインAが古細菌であることより、オは、真核生物で最後に枝分かれしたのは動物界と植物界で、動物は旧口動物と新口動物に枝分かれしたことを知っていれば判断できた。B:問4・5は、昨年は出題されなかった生物の変遷の詳細な知識を要求する問題であった。問5の⑸は、被子植物でむきだしなのは胚珠であるため誤り。

第6問 (10点満点)

配点 出題内容 難易度
10 DNAの複製と遺伝情報の転写・発現 標準

問1のアは、1回分裂後の大腸菌は標識ヌクレオチドを含むDNA鎖と標識ヌクレオチドを含まないDNA鎖からなる2本鎖DNAをもつことより100%と分かる。問2は、図1を5′末端側から見たときに、開始コドンAUGに相当する塩基配列ATGが存在するb鎖がセンス鎖なので、a鎖が鋳型鎖と分かる。また、終止コドンの前のコドンまで読まれるため、アミノ酸数は6個となる。問3のオは、RNAポリメラーゼが認識して結合することからプロモーターと分かり、カは子孫にDNAが伝わることより生殖細胞と判断できる。

第7問 (10点満点)

配点 出題内容 難易度
10 生物の種間関係と進化 標準

問1のアは設問文から、ハチはハエ幼虫を捕食することより二次消費者で、虫こぶ内部の組織を食べることより一次消費者と判断できる。イ・ウは表1から、大きな虫こぶは鳥のターゲットとなり、小さな虫こぶはハチのターゲットになることから判断できる。問2のエは、大きい虫こぶをターゲットにして採餌する鳥がいなくなることで大きい虫こぶが増加すると分かる。問3は、自然選択に関する基本的な知識問題。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
平均点 61.36点 68.97点 63.62点 54.99点
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