物理

総評と分析

選択問題を含め、各大問の出題分野は昨年と同じである。単なる知識ではなく考察力を見る問、正答の組合せを選ぶ問が増加した。


問題の記載ページは大幅に減ったが、答の組合せを選ぶ問が増えたこともあり、実質的な解答量は昨年とほぼ同じである。第3問でドップラー効果が昨年に引き続き出題された。

問題分析

大問数 大問数6で第5問と第6問は選択(昨年と同じ)。
設問数 設問数は昨年と同じ20。
解答数 解答数は昨年より2減って20。

問題量

  • 問題記載ページは22ページであり、第5問を選択した場合は昨年より4減、第6問を選択した場合は6減である。

出題分野・出題内容

  • 第1問が「小問集合」、第2問が「電磁気」、第3問が「波動」、第4問が「力学」、第5問が「浮力と気体の状態変化」、第6問が「原子」からの出題であった。
  • 第3問のAはドップラー効果について原理から考えさせるものである。
  • 選択問題の難易度が昨年よりやや増した。第6問では日本の研究グループが命名したニホニウムが取り上げられた。

出題形式

  • 正答の組合せを選ぶ問が、第5問を選択した場合は4から9、第6問を選択した場合は6から9に増加している。
  • 第2問〜第4問では、AとBに分けることによって幅広い出題となっている。
  • グラフまたは図を選択する問は第5問を選択した場合は4、第6問を選択した場合は5である。

難易度(全体)

  • 選択問題はやや難化しているが、全体としてはやや易化した。

第1問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 5 力のモーメントのつり合い やや易
問2 5 電流の作る磁場 やや難
問3 5 クインケ管 やや易
問4 5 状態方程式と内部エネルギー やや易
問5 5 運動量の保存 標準

第1問は例年通りの小問集合形式である。問1は力のモーメントのつり合いに関する問題で、基礎的。問2は電流の作る磁場の磁力線の様子を選ぶ問題でやや難しい。特徴的な位置での磁場の方向を考えるのがポイント。問3はクインケ管の問題。経路差がヒントとして与えられているので易しい。問4は状態方程式と内部エネルギーの問題で、状態方程式から各物理量の変化を追えばよい。理想気体の内部エネルギーが温度に比例するのは暗記事項だが、それがわからなくとも部分点がもらえた。問5では運動量保存について問われており、初めの全運動量が0であることに気づければ容易。

第2問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 コンデンサーの接続 標準
B 10 荷電粒子の運動 標準

第2問は電磁気分野からの出題である。Aはコンデンサーに関する問題で、見慣れない設定ではあるが図に示されているように導体部分は導線と見なせることが理解できれば問1は容易。問2は自分で等価回路を描き、その回路内のどの部分の電圧が問われているかを把握するのがポイント。Bは荷電粒子の運動に関する問題で、問3は荷電粒子にはたらくローレンツ力の向きと、ローレンツ力が仕事をしないことを理解できていれば解答でき、難しくない。問4は電磁気というよりも力学の問題で、静電エネルギーを含めた力学的エネルギーの保存を用いる。電位が求められていれば部分点がもらえた。

第3問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 ドップラー効果の原理 やや難
B 10 光の干渉 標準

第3問は波動分野からの出題である。Aではドップラー効果を扱っている。問1は周期と速さを用いて波長を表し、ドップラー効果の原理について答える問題ではあるが、ドップラー効果の公式から逆算して解答することも可能。問2は波源が動く場合のドップラー効果について、波長が変化するイメージができているかどうかがポイント。Bは光の干渉についての問題であり、問3でまずヤングの実験を扱っている。直感的に解答することもできるが、それが難しければ干渉縞の間隔を自力で求める必要がある。問4の題材はニュートンリングであり、計算せずとも解くことができる。干渉条件式に部分点が出ている。

第4問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 運動量保存・円運動 やや易
B 10 力のつり合いと運動方程式 やや易

第4問は力学分野からの出題である。Aは簡単な運動量保存(問1)と円運動(問2)の問題。問2は典型的な問題だが、誘導がないため必要な物理量を自分で設定して解き進めなければならない。Bは力のつり合いと運動方程式に関する問題。問3はそれぞれの小球にはたらく力を漏れなく書き出し、連立方程式が立てられれば後は解くだけ。2つの小球をまとめて考えれば、張力は即答することもできる。問4も同様に、力を書き出し、それぞれの運動方程式が立てられればよい。

第5問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
15 浮力と気体の状態変化 やや難

第5問は選択問題であり、昨年度に引き続き熱力学からの出題である。やや発展的な、水中に沈められた容器内の気体を題材にしている。問1は容器と気体を一体と見て、浮力と重力のつり合いを考えるのがよい。浮力とは容器の上下にはたらく圧力の差による力なので、浮力と圧力の両方を考えると浮力を二重に数えることになるので注意。問2は水槽の底に沈んだ容器が浮き上がるときの問題で、垂直抗力が0であることは即答したい。気体の圧力は水圧と等しく、物理基礎にある公式通り。問3はボイル・シャルルの法則を使うのが楽。問1、問2は問題文が長いため、よく読んで解答したい。

第6問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
15 核反応・放射線 標準

第6問は昨年に引き続き原子分野が選択問題として出題された。問1は核反応式の核種を埋める問題で、右辺と左辺で質量数の和と原子番号の和が変化しないことを用いる。α粒子がHeの原子核であることは必ず覚えておこう。問2は、やや面倒だが質量エネルギーの差を公式通りに計算していけばよい。問3は荷電粒子の運動のような問題で、α線とβ線がそれぞれ正と負の電荷をもち、γ線が電気的に中性であることがわかっていれば解答できる。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度
平均点 56.94点 62.42点 62.88点 61.7点 64.31点
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