倫理

総評と分析

※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
前年の路線を発展させた出題形式であり、各大問は高校生目線でそれぞれのテーマを深く考察させるような問題構成であった。


形式面では前年の路線を発展させるものになっており、グラフは従来多くみられる意識調査問題が出題された。内容面では引き続き高校生目線からテーマごとに認識を深めさせるもので、全体を通しての読解量は前年よりも多くなった。

問題分析

大問数 4で前年から変更はない。
設問数 前年に比べ1増えて33。
解答数 33で前年から変更はない。

問題量

  • 原典資料が8、図版はグラフ1つを含んで5つ収録されていた。資料読解問題や会話文は、前年と同じくらい多かったが、選択肢の文章が長くなっていた。

出題分野・出題内容

  • 第1問(東西源流思想)、第2問(日本思想)、第3問(西洋近現代思想)、第4問(現代社会・青年期・心理学など)と、前年改められた問題編成と同じ出題であった。
  • 特に第3問や第4問で、高校生という目線から「考えること」と「未来世代に対する責任」をルネサンス期の魔女狩りや子どもが存在しない未来を想定した小説などの資料から考えさせ、倫理的意識の形成を促すような問題が前年に引き続き出題された。
  • グラフ問題を含む最後の4設問は新形式も登場し長かった。グラフ単体は従来よりも複雑になっていた前年とは異なり、例年多くみられる意識調査の考察問題であった。
  • 阿部次郎の随筆小論集「三太郎の日記」や、P.D.ジェイムズの「人類の子どもたち」などが資料として登場した。ほか、コールバーグの道徳的判断の理由付けのレベル分類も出題されたが、いずれもその場で解くことができ知識は不要。珍しい思想家名や用語も出たが、消去法で解答可能であり、オーソドックスな思想家からの出題がほとんどであった。第4問では世代間倫理が大きなテーマになり、ハンス=ヨナスが取り扱われた。

出題形式

  • 形式面では、前年の路線を踏襲しつつも新形式を導入するなど、より発展させた形であった。特に第4問の読解問題などで、解答するのに骨が折れるような形式も見られた。

難易度(全体)

  • 読解量が増えただけでなく、出題の意図をつかみにくい設問もあり、受験生の負担は増加。よって全体の難易度はやや難化。一部に新形式の問題もあった。

第1問 (24点満点)

配点 出題内容 難易度
24 「議論」の意義(東西源流思想) 標準

「議論すること」をテーマとした、東西源流思想からの出題。問1は真理をめぐる地域横断的な出題。問2は礼に関する諸子百家からの出題。問3はイスラームにおける異文化・他民族との関わり方に関する細かい出題でやや盲点的。問4は人間の生き方をめぐる出題で、やや細かい知識を必要とした。問5は、マルクス・アウレリウスの『自省録』を読解し会話を補充する問題。問6は老子と旧約聖書をともに引用した新形式の正誤判定問題。問7は『スッタニパータ』を資料とする、論争に関する問題。問8は会話の空欄補充であり、文脈を読む力が必要。

第2問 (24点満点)

配点 出題内容 難易度
9 「理想」のあり方(古代~中世における日本思想) 標準
6 「理想」のあり方(近世における日本思想) やや易
9 「理想」のあり方(近代における日本思想) 標準

理想をテーマとした日本思想史分野からの出題。問1は古代日本人が重んじたあり方についての易しい出題。問2は憲法十七条の内容についての出題。問3は珍しく華厳宗の明恵が出題されたが消去法で解答可能なので難しくはない。問4は本居宣長の思想「真心」についての出題で難易度は標準的。問5は安藤昌益に関する易しい問題。問6は出題頻度の低い安部磯雄などが出題されたがこちらも消去法で解答可能な範囲。問7は西田幾多郎と親鸞についての分野横断的問題で、難。問8は阿部次郎『三太郎の日記』を資料とした易しい読解問題。

第3問 (24点満点)

配点 出題内容 難易度
6 考えることについて(西洋近現代思想その1) 標準
6 考えることについて(西洋近現代思想その2)        やや易
12 考えることについて(西洋近現代思想その3) やや難

⑴~⑶で会話は区分されているが、テーマは一貫している。問1はピコ・デラ・ミランドラの易しい出題。問2は魔女狩りをめぐる対話の読解問題で、迫害ではない事例を選ぶ必要がある。問3はデカルトの方法的懐疑についての標準的出題。問4はヒュームとロックについての易しい出題。問5はヘーゲルの弁証法についての少し踏み込んだ内容。問6はヤスパースの限界状況についての出題で、やや難。問7は、資料を読み、デューイの思想を問うもので、複雑であり、やや難。問8は会話文とレポートをもとに空欄を埋める問題で、これも資料が複数にわたるため煩雑。

第4問 (28点満点)

配点 出題内容 難易度
28 未来世代に対する責任(現代の倫理、青年期、心理学) やや難

現代倫理をテーマとした読解量の多い大問。問1は文脈に最も適した語句を選ぶ必要があり、やや混乱を招く内容で、正答の根拠に乏しかった。問2はデジタル・デバイドをめぐる易しい問題。問3は心理学、青年期分野の標準的な出題。問4は、選択肢ア、イ両方とも難しいが、消去法で解答可能な範囲。問5はガンディーに関する基本的な出題。問6は新形式の出題で、資料に登場する考えに該当する事例の分類が求められた。問7は2つのグラフをもとにした問題で、選択肢から確実な間違いを見つけて消去法で解くことが求められる。問8は、表をもとにレベルとその例の組合せを選ぶ新形式の出題。問9は引用資料と大問冒頭の会話文の両方をふまえて解答する必要があり、やや難。

平均点(過去5年分)

年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
平均点 71.96点 65.37点 62.25点 67.78点 54.66点
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