日本史B

総評と分析

※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
内容豊富な史資料の読み取り問題が多く、思考力・判断力を問う出題意図がより明確になった。


通常のリード文形式の出題は第6問のみで、会話文形式の問題が半分を占めるほか、メモ・年表・系図を素材に史資料を多用することで、多角的な視点から問う問題が多く見られた。

問題分析

大問数 6で前年から変更はない。
設問数 32で前年から変更はない。
解答数 32で前年から変更はない。

問題量

  • 分量的には前年と変化はないが、読み取り問題がやや複雑化しているため、やや時間を要する。

出題分野・出題内容

  • 出題分野は、前年と同様に、通史・古代・中世・近世・近代・近現代史であった。第5問は前年の人物史から、「日本とハワイとの関係」をテーマとした問題に変わり、第6問は前年のA~CからA・Bの構成となり、Bで戦後史から3問出題された。
  • 出題内容は政治・外交史、社会・経済史の問題が多く、文化史の問題はほとんどなかった。

出題形式

  • 全体の半分以上を組合せ問題が占め、史料を用いた問題や年代整序問題が増加した。その一方で、評価・根拠、語句・理由といった二段階の思考を要する問題はなくなった。

難易度(全体)

  • 前年と比較して難化した。情報量の豊富な史資料の正確な読み取りを要求する問題が多く、情報を消化し解答するためにやや時間を要する。また、曖昧な知識では選択に迷うことも多い。会話文をはじめとするリード文にもヒントが隠されている場合もあるので、それに着目できるかも問われていた。

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 古代~近代の姓・苗字 やや難
B 9 古代~近現代の個人名 やや難

人名から見た日本の歴史を題材とした会話文形式の出題。資料を分析する問題がほとんどで、判断に迷うものも多かっただろう。問1のアは姓と苗字の違いを理解する必要がある。政子は「平」が姓、「北条」が苗字となる。なお、北条は下線部aに示されているように地名に由来する。問2はどちらも具体的なキーワードが示されておらず特定しづらい。Xは源(木曽)義仲、Yは足利持氏。問4のa・bは系図を見ても判断がつかないだろうが、嵯峨天皇から唐風化を考える。問6もa・bの判断がやや難。系図や会話文からヒントを拾いたい。ちなみに、登場人物の陽菜と大輝の名前は、2003年生まれ(現18・19歳)の男女の名前ランキングにおける1位である。

第2問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 古代の政治・外交・社会・文化 標準

日本古代の法をテーマとする出題。日本古代の法整備の歴史と、中国の法典をもたらした遣隋使・遣唐使の派遣に関する年表が示され、それを軸に設問が展開された。問3は古代の計帳に関する史料問題で、戸惑った受験生が多かったかもしれない。内容は丁寧に読んでいけば難しくはないので、落ち着いて対応したい。問4は税に関わる条文の一部が示され、それらを年代順に配列する問題。IとIIIは養老令と延喜式で迷ったかもしれない。設問中にある「法整備の過程を考えて」をヒントに、IIIは「令条の期の後」から延喜式だと判断してほしい。

第3問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 中世の政治・外交・社会・経済 標準

中世の海と人々との関わりをテーマに、主に政治・外交・経済が問われた。問1は倭寇が国家の保護を受ける存在でなかったことを踏まえて解答する。他の選択肢については会話文をヒントに正誤判断ができ、会話文の重要性が以前よりも増したと言える。問4のc・dは史料の丁寧な読取りが必要。最後の一文のみで判断しないようにしたい。問5の中世の遺跡に関する地図問題のXは、「和人」や「37万枚余りの銅銭」から志苔館を想起する。「越前焼」からbを選ばないようにしたい。なお、志苔館から発見された銅銭は実際には約39万枚である。

第4問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 近世の社会・文化 標準

近世における身分をテーマとする出題。問1は、(3)・(4)で判断に迷ったかもしれない。町人が上・下水の管理や防火の役割を町人足役として担っていたことは教科書に記述がある。問3では、史料の内容に加えて史料中の和暦にもしっかりと注目して解答したい。問4はa・bの判断に迷うだろう。aは史料では「其日稼ぎ」が生活に苦しくなり「無宿」となって物乞いをするとあるのでやや不正確。bの幕府の「意図」があったかの判断が難しいであろうが、史料が町奉行所の提出させた報告書であることも考慮して適当と考えたい。

第5問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 近代の外交 やや難

日本・ハワイの関係をテーマとする出題。やや細かい知識と緻密な史料読み取りが求められた。問1はやや細かい知識。Xは「オランダ」もヒントになるが、Yのヘボンを知っているかどうか。問2のa・bは、史料全体を正確に読み取らなければ正解できないだろう。aは「場所の制限なく」が史料1~2行目と照らして誤りとなる。問3のIIIは1889年の防穀令に関することで、やや細かい。問4はXの判断に注意。「農業の技術を伝え」るのではなく、習得して帰国後に活用することを期待されている。

第6問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
A 13 近代の政治・社会・経済 やや難
B 9 現代の政治・社会・経済 標準

鉄道の歴史をテーマに、近現代の政治・社会・経済について問われた。問2のa・bは、2つの史料が作成された月に注意する。c・dは、cの電力の普及が大正期であることを知っていれば解答しやすい。問3は、(1)の日本鉄道会社が官業払下げによるものではないが細かく、正誤を判断しにくい(4)と迷う。問5のYは松川事件で、ドッジ=ラインによる不況下で起きたためdが正しい。cは1955年からの高度経済成長の説明のため誤り。問7のYは国鉄民営化も中曽根康弘内閣。誤文だが、小泉純一郎という21世紀の首相が登場した。

平均点(過去5年分)

年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
平均点 64.26点 65.45点 63.54点 62.19点 59.29点
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