地理B
総評と分析
※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
図表の分析等は、正確な知識があれば正解できる。前年と比べて判定に迷う問題は減り、取り組みやすい。
地理の全分野について満遍なく学習することが求められている。図表の分析等は、正確な知識があれば正解できる問題が多い。前年より取り組みやすい問題が多いが、比較的練られた良問が多かった。
問題分析
大問数 | 5で昨年から変更はない。 |
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設問数 | 30で昨年から変更はない。 |
解答数 | 昨年に比べ全体として1減の31。 |
問題量
- 大問の問題文、小問の図、表、写真、選択肢表などの文字を除いた、設問文および選択肢の文字数は1万字程度で、昨年度より2,000字ほど少なかった。とはいえ、問題文を迅速に読み、判断することが求められる。
出題分野・出題内容
- 出題分野は、世界の自然環境や自然災害、資源と産業、村落・都市と人口、地誌、地域調査の5分野である。
- 出題内容は、第1問は「世界の自然環境や自然災害」、第2問は「資源と産業」、第3問は「村落・都市と人口」、第4問は「ラテンアメリカ」、第5問は「北海道苫小牧市とその周辺の地域調査」で、各大問の設問数は、各6である。解答数は第1問、第2問、第3問、第5問は各6であるが、第4問は1設問で2つ解答する設問があり、解答数は7である。
出題形式
- 4つの文の4択正誤判定問題は1問、文の下線部の4択正誤判定問題は3問、2項目4択の組合せ問題は9問、3項目6択の組合せは7問、3項目8択の組合せ問題は2問、表中の4択問題は1問、図中の4択問題は4問、2項目6択の組合せ問題は2問であった。なお、今年度は新たに共通の4つの選択肢から2つの問う対象が異なる選択肢を1つずつ選ぶ問題が1問あった。
難易度(全体)
- 図表の読解、判断に悩む問題もみられるが、全体としては昨年並の難易度である。
第1問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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20 | 世界の自然環境や自然災害 | 標準 |
世界の自然環境や自然災害に関する問題。問1は大陸棚の分布に関する問題で、海溝の位置を推測し判断する。問2はポー川はアルプス山脈に源流があることに着目する。問3はチベット高原に源流をもつ河川流域の植生に関する問題で、気候と植生の変化に注意する。問4はオーストラリアの1月と7月の気温と降水量に関する問題で容易である。問5はアフリカの5地域の自然災害の発生数に関する問題で、大地溝帯やサイクロンの影響を考慮する。問6は日本の季節ごとの自然災害の発生状況に関する問題で、季節風や台風などの影響を考慮する。
第2問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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20 | 資源と産業 | 標準 |
持続可能な資源利用を踏まえた資源と産業に関する問題。問1は石炭と石油の分布と特徴に関する問題で容易である。問2は世界の地域別の人口と1次エネルギー消費量についてのグラフの読み取りでこれも容易である。問3はGDPと二酸化炭素排出量の変化から産業構造の変化や経済発展を読み取る。問4はグラフと会話文を比べれば正誤判定は容易である。問5はロシアの木材輸出額が多いことやブラジルにおける熱帯雨林の伐採量の増加から判断する。問6はマングローブ林のエビ養殖池への転換が森林伐採につながることから判断は容易である。
第3問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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20 | 村落・都市と人口 | 標準 |
村落・都市と人口に関する問題。問1の砺波平野の変化を問うた文章正誤問題はあぜ道に注目する。問2の公共施設の立地は、その分布地域と数から判断する。問3のジェントリフィケーションがみられる地区は4つの図から総合的に判断する。問4はヨーロッパの旅客便を判別させる問題。フランスとアフリカの関係から判断する。問5のシンガポールとドイツの人口ピラミッドを判別させる問題はサとシの判別を先に行い、DとEでは女性の率の高さに注目したい。問6の4か国の出生率と死亡率を判定させる問題は各国の経済水準から判断する。
第4問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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A | 13 | ラテンアメリカの自然と社会 | 標準 |
B | 7 | チリとニュージーランド | 標準 |
ラテンアメリカに関する問題。問1の2つの河川に関する問題は位置と流域面積から判断する。問2は各国の電力構成を問うた問題。ブラジルが手掛かりとなる。問3はブラジルの農業に関する正誤問題。コーヒー豆の輸出額は減少していない。問4は各国の経済力と高所得層の割合から判断する。問5のチリとニュージーランドの自然に関する問題は砂漠の存在とウェリントンの気候から判断する。問6はチリとニュージーランドの貿易に関する問題。チリが鉱産資源国であることと西ヨーロッパとの貿易関係が希薄になったことから考える。
第5問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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20 | 北海道苫小牧市とその周辺の地域調査 | 標準 |
北海道苫小牧市とその周辺の地域調査。問1は地図をもとにした苫小牧市の景観についての正誤問題で容易。問2は苫小牧市が太平洋岸であり冬季に乾燥することに着目する。問3は苫小牧港と室蘭港の比較で、正確な図の読み取りが求められる。問4は苫小牧市の工業が紙関連から多様化したことを推察する必要がありやや難しい。問5は社員用住宅には定年退職する60歳以上が少ないことに気づきたい。問6は図の読み取りとコンパクトシティについての理解が求められる。
平均点(過去5年分)
年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 |
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平均点 | 60.06点 | 66.35点 | 62.03点 | 67.99点 | 62.34点 |