倫理、政治・経済

総評と分析

※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
倫理分野は前年の路線を踏襲した形式で、生徒に各テーマの認識を深めさせるような構成。政経分野では、各国通貨の購買力についての「ビッグマック指数」の設問など、特に経済分野で意欲的な出題が目立った。


第1~4問が「倫理」からの抜粋、第5~7問が「政治・経済」からの抜粋という構成は前年通り。第1~4問では「倫理」単体から比較的読解量の少ない設問が収録される傾向にあった。第5~7問の政治分野では専門的な資料の出題が減った反面、経済分野でバランスシートや「ビッグマック指数」など教科書であまり見ない分野が出題された。

問題分析

大問数 前年と同じ7。
設問数 前年と同じ32。
解答数 前年から1減って32。

問題量

  • 倫理分野では原典資料が5つ、図版が1つ収録された。メッセージ性のある会話文なども収録されたが、解答に当たっての問題量は前年と同程度。
  • 政経分野の設問数・資料読解量は前年並み。

出題分野・出題内容

  • 前年と同じく、全設問が「倫理」および「政治・経済」と共通。
  • 第1問(東西源流思想)、第2問(日本思想)、第3問(西洋近代思想)、第4問(現代の倫理・青年期・心理学)は、いずれも「倫理」からの抜粋。特に第3問や第4問で、倫理的意識の形成を促すような出題があった。阿部次郎の随筆小論集「三太郎の日記」や、P.D.ジェイムズの「人類の子どもたち」などが資料として登場した。
  • 政経分野の第5問(国の法制度や地方自治)、第6問(経済分野の総合問題)、第7問(地方自治)は、いずれも「政治・経済」からの抜粋。

出題形式

  • 倫理分野の設問は、ほぼ前年と似た形式での出題であった。文脈に適した発言を選ぶ設問や、本居宣長「真心」および「デジタル・デバイド」の例を選ぶ設問もあった。
  • 政経分野では、単純な正誤問題は減少。前年に続き計算問題や、当てはまるすべてを選ぶ等の多彩な組合せ問題のほか、センター試験でよく見られた年代順の問題が復活した。

難易度(全体)

  • 第1~4問の倫理分野ではほぼ前年の形式が踏襲。第5~7問のうち、政治分野では専門的な文章の出題がなくなってやや易化したが、経済分野ではいわゆるビッグマック指数など新傾向の出題が目立ち、やや難化した。全体としては、前年並みの難易度。

第1問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 「議論」の意義(東西源流思想) 標準

「議論すること」をテーマとした、東西源流思想からの出題。「倫理」第1問からの抜粋。問1は真理をめぐる地域横断的な出題。問2は人間の生き方をめぐる様々な宗教や思想家からの出題で、やや細かい知識を必要とした。問3は、マルクス・アウレリウスの『自省録』を読解し、会話の流れを踏まえて空欄を補充する問題。問4は『老子』と旧約聖書「ヨブ記」をともに引用した新形式の正誤判定問題。

第2問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
3 「理想」のあり方(古代における日本思想) 標準
3 「理想」のあり方(近世における日本思想) やや易
6 「理想」のあり方(近代における日本思想) 標準

「理想」をテーマとした日本思想史分野からの出題。「倫理」第2問からの抜粋。問1は憲法十七条の内容についてのやや込み入った出題。問2は本居宣長の思想「真心」についての出題だが、選択肢から仲間はずれを選べばよい。問3では出題頻度の低い安部磯雄などが出題されたが、消去法で解答可能な範囲。問4は阿部次郎『三太郎の日記』を資料とした易しい読解問題。

第3問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
3 考えることについて(西洋近代思想その1) 標準
3 考えることについて(西洋近代思想その2)
6 考えることについて(西洋近代思想その3) 標準

⑴~⑶で会話は区分されているがテーマは一貫しており、半分が知識不要の読解問題。「倫理」第3問からの抜粋。問1は魔女狩りをめぐる対話の読解問題で、迫害ではない事例を選ぶ必要がある。問2はヒュームとロックについての易しい出題。問3はヘーゲルの弁証法についての少し踏み込んだ内容。問4は会話文とレポートをもとに空欄を埋める問題で、参照先が複数にわたるため煩雑。

第4問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 未来世代に対する責任(現代の倫理、青年期、心理学) 標準

現代倫理をテーマとした、メッセージ性もある大問。「倫理」第4問からの抜粋。問1は文脈に最も適した語句を選ぶ必要があり、やや混乱を招く内容で、正答の根拠に乏しかった。問2はデジタル・デバイドの具体例をめぐる易しい問題。問3は心理学、青年期分野の標準的な出題。問4は引用資料と大問冒頭の会話文の両方を踏まえて解答する必要があり、やや難。

第5問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 国の法制度や地方自治(政教分離訴訟、農業の法制度、民泊など) 標準

「政治・経済」第1問から6設問を抜粋。空欄補充組合せの問1(団体自治と住民自治)・3(農業の法制度)・4(民泊の規制)・5(民泊の関連法)はいずれも、選択肢と照合すれば難しくない。問2(政教分離訴訟)も難しくないが資料集の学習が必要。問6(日本の立法過程)は衆議院の優越の正確な知識が必要で間違いやすい。

第6問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 経済主体と関係図 やや難

「政治・経済」第2問から6設問を抜粋。問1は自宅での食事・ゲーム・ネットショッピング等を増やす「巣ごもり需要」がポイントになる時事問題。空欄補充組合せの問2(機会費用)・3(日銀の公開市場操作)はいずれも、選択肢と照合すれば難しくない。問4は前年に続くバランスシートの出題だが、易しい。問5は需要供給曲線の設問としては新傾向。問6はいわゆるビッグマック指数を初めて取り上げた設問ではないか。

第7問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 地方自治 標準

「政治・経済」第4問から4設問を抜粋。問1(地方自治の出来事)はセンター試験でよく見られた古い順の3番目を答える設問。空欄補充組合せの問2(国と地方の関係)・4(民間企業の取組み)はいずれも、選択肢と照合すれば難しくない。問3(地方自治体の歳入区分)は、自主財源(ほとんどが地方税)とそれ以外の依存財源や、特定財源(国庫支出金)と一般財源(地方税・地方交付税)の区分をよく分かっていないと難しい。

平均点(過去5年分)

年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
平均点 69.26点 66.51点 64.22点 73.08点 66.63点
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