国語

総評と分析

※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
全体として昨年度と出題の方向性は変わらず、複数のテキストや生徒の学習過程を意識した問題が出題されている。


第1問(現代文)は「食べる」ことを主題とする評論文が2つ用意された。漢字問題で同一漢字の異なる意味を問う問題が新たに出題された。第2問(現代文)は、登場人物の心情を問う従来の設問形式に加え、複数の資料を基に文章の一節を解釈する新傾向の問題も見られたが、語句の意味を問う問題はなくなった。第3問(古文)は本文として2つの文章が提示され、両者の特徴を比較考察させる設問が出された。第4問(漢文)は、問題文の論旨は明確ながらも、情報量が多く、一句一語を的確に読み解く必要があった。

問題分析

大問数 昨年と同様の4。
設問数 昨年に比べ古文で1減り、漢文で1増えたため、全体としては同様の22。
解答数 昨年に比べ現代文で2減ったため、全体としては2減の36。

問題量

  • 第1問は文章Iが約2200字、文章IIが約1300字で全体として約3500字であり、昨年より200字程度増加、第2問は約3200字で昨年より400字程度減少、第3問は文章Iが約400字、文章IIが約800字で全体として約1200字であり、昨年より300字程度増加、第4問(漢文)は205字で、昨年より29字増加した。

出題分野・出題内容

  • 近代以降の文章2題、古文1題、漢文1題という構成は昨年から変化なし。
  • 第1問(現代文)は檜垣立哉『食べることの哲学』(文章I)と藤原辰史『食べるとはどういうことか』(文章II)、第2問(現代文)は黒井千次「庭の男」、第3問(古文)は『増鏡』(文章I)と『とはずがたり』(文章II)、第4問(漢文)は阮元『けん経室集』(けん=「研」の下に「手」)からの出題。

出題形式

  • 第1問の現代文では従来の漢字問題が5から3となり、新たに同一漢字の異なる意味を識別させる問題が2題加わった。読解問題では傍線部説明問題のほか、生徒作成の「メモ」という形式で複数の文章を比較対照させる問題が出題されたが、本文の段落の構成を問う問題はなかった。第2問の現代文は、例年あった語句の意味を問う問題が出題されなかったが、主人公である「私」の心情を問う問題を中心としつつ、本文中の表現を国語辞典や歳時記の内容と関連付けて解釈する問題が出題された。古文は、語意問題や説明問題のほか、2つの文章を関連づけて考察させる設問が、教師と生徒との会話文という形式で出された。昨年度と比べ設問数は1つ減ったが、解答数は同じ。漢文は、重要語や句法の理解、心情説明などの一般的な設問形式のほか、句法の読みや漢詩の特徴を端的に答える設問、一連の出来事の順序を定める問題文の特徴を活かした設問が見られた。

難易度(全体)

  • 国語全体としてやや難化した。現代文は紛らわしい選択肢に加えて、複数の資料を読み込んで関連付けて解く形式の分量が多くなり難化した。古文は昨年並み~やや難化。漢文はおおむね昨年並み。

第1問 (50点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 10 漢字の知識を問う問題 標準
問2 7 傍線部内容説明問題 やや難
問3 7 傍線部内容説明問題 やや難
問4 7 傍線部内容説明問題 標準
問5 7 表現を問う問題 やや難
問6 12 生徒作成の「メモ」を用いた空欄補充問題 やや難

「食べる」ことについて異なる角度から考察した2つの文章が出題された。それぞれの文章の読解を踏まえた上で(問2~問5)、2つの文章の「捉え方の違い」などを考察させる問6が続く。問1では従来の漢字問題が5から3になり、代わって意味の異なる漢字を含む熟語を選ばせる問題が2つ出題された。また今回は本文に段落番号が付されず、段落構成を問う問題は出題されなかった。選択肢の識別に戸惑う設問や、問いの意図を汲みにくい設問が散見された。

第2問 (50点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 8 心情説明問題 標準
問2 8 心情説明問題 やや易
問3 8 心情説明問題 標準
問4 12 表現を問う問題 やや難
問5 14 複数の資料による本文理解問題 やや難

出典は黒井千次「庭の男」(1991年発表)。昨年と同じく小説の一節からの出題である。例年問1に設置されていた語句の意味を問う問題がなくなって、登場人物の心情を問う問題が中心となり、問4では表現から登場人物の心情について考える問題、問5では国語辞典や歳時記の内容をまとめた【ノート】を踏まえて、本文中の表現や登場人物の心情変化を説明する問題が出題された。誤りの選択肢が明確な設問がある一方で、判断に慎重さが求められる設問も見受けられた。

第3問 (50点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 15 傍線部解釈問題 やや易
問2 7 語句や表現に関する説明問題 やや易
問3 7 心情把握問題 標準
問4 21 対話による表現鑑賞問題 やや難

鎌倉時代を描いた歴史物語『増鏡』と女流日記『とはずがたり』の組合せによる出題。『増鏡』の本文は短いが、『とはずがたり』が昨年度の本文と同程度の分量であり、また問4で「教師と生徒の対話」形式が用いられたことから、テキストの総量は増加した。後深草院が異母妹との逢瀬の仲立ちを『とはずがたり』の作者に依頼する経緯を、物語作者の俯瞰的な視点と当事者の視点で描いた2作品を読み比べ、書き手の意識の違いを理解させる問4が特徴的。難問だが、選択肢を4つにするなどの点に、難易度調整の配慮がうかがわれる。読解においては人物関係の把握が重要。また和歌の表現や技巧に関する設問はなかった。

第4問 (50点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 12 漢字の意味問題 標準
問2 7 返り点と書き下し文の問題 標準
問3 7 傍線部解釈問題 標準
問4 5 漢詩の空欄補充と説明の問題 標準
問5 5 傍線部の読み方の問題 標準
問6 6 出来事の順序を問う問題 やや難
問7 8 心情説明問題 標準

出典は、清代の阮元『けん経室集』(けん=「研」の下に「手」)。作者が庭園で経験した、蝶にまつわる出来事を詠じた七言律詩とその序文。問1・2・3・5・7は、語句の意味や書き下し文、解釈、心情説明など、センター試験の形式を踏襲した設問であった。問4は、押韻や形式など、漢詩の基本的な知識を問う問題。問6は、出来事の順序が正しいものを選ぶ問題であり、本文全体に目を配る必要があるため、解答にやや時間がかかる。全体として、漢文の知識と読解力をバランスよく身につけ、素早く情報を整理して解答する力が求められた。

平均点(過去5年分)

年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
平均点 117.51点 119.33点 121.55点 104.68点 106.96点
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