地学基礎
総評と分析
※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
図表を読み取らせる問題が増加した一方で、知識問題も増加した。
大問数は前年の3から2020年度センター試験と同様の4に増えた。図表を読み取らせる問題が増加した一方で、知識自体を問う問題も増加していた。
問題分析
大問数 | 昨年より1増加して4。 |
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設問数 | 昨年と変わらず15。 |
解答数 | 昨年と変わらず15。 |
問題量
- 図表問題・知識問題が増加した。
- 全体の文章量としては前年並みである。
- 全体の問題量は時間に対して適量である。
出題分野・出題内容
- 第1問は固体地球分野、第2問は大気・海洋分野、第3問は太陽と太陽系、第4問は自然災害の問題だった。
- 図表問題は資料を丁寧に読み取る必要があり、解答に時間を要する問題が複数あった。
- 知識問題は組合せがほとんどであり、正確な知識が問われていた。
- 岩石の共通点・相違点をベン図で示した問題と、水深と津波が伝わるのに要する時間の関係を示したグラフを読み取らせる問題が特徴的だった。
出題形式
- 6択形式の問題が1題のみで、それ以外は4択問題だった。
- 複数の知識を組み合わせて解答する必要がある問題もあった。
- 文章の読解よりも図表の読み取りを問われる問題が多数出題された。
- 数値を扱う問題は2題だった。
難易度(全体)
- 前年並みの難易度だと思われる。図表問題と知識問題が増加し、基本的な知識のみで解ける問題も多いが、知識の習得が不正確だと誤答しやすい問題もあった。
第1問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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A | 6 | 断層、地殻とマントルの構造 | やや易 |
B | 7 | 地質断面図、示準化石 | やや難 |
C | 7 | 有色鉱物と無色鉱物、岩石の共通点・相違点 | やや易 |
Aの問1は断層の種類と力のはたらき方についての、問2は地球内部の地殻とマントル、リソスフェアとアセノスフェアの区分についての基本的な知識問題である。Bの問3は、各選択肢を検討するのに時間を要する。問4は示準化石となる植物化石についての知識問題である。Cの問5は、マントル上部を構成するかんらん岩の主な構成鉱物は、有色鉱物のかんらん石であることがわかれば平易な知識問題である。問6は花こう岩と流紋岩の共通点・相違点についてのベン図を埋める問題で、問われている内容自体は平易である。
第2問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 6 | 気団の性質、梅雨期の天気図 | やや難 |
B | 4 | 津波が伝わるのに要する時間 | 標準 |
Aは梅雨期の天気図が与えられているが、問1も問2も、梅雨前線が太平洋高気圧の暖かく湿った空気とオホーツク海高気圧の冷たく湿った空気がぶつかることでできるという知識だけで正答できる。Bの問3は地学基礎の範囲外の知識である津波の速度と水深の関係について、グラフを与えて読み取らせる問題として出題している。
第3問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 7 | 太陽の元素組成とその起源、黒点の移動と自転周期 | やや難 |
B | 3 | 太陽系の天体 | 易 |
天文分野は太陽系内部の出題に限られた。Aの問1は太陽の主な構成元素とその起源についての知識問題で、太陽内部の核融合反応でできるヘリウムとの混同に注意しよう。問2は、太陽黒点の移動の観察から太陽の自転周期や黒点の大きさを求める2015年のセンター本試験と同様の問題だが、太陽の自転周期と大きさについての知識だけでも正答できるよう、誤りの選択肢がわかりやすい数値になっている。Bの問3は金星表面の大気圧についての知識のみで正答できる。
第4問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
10 | 地震と火山噴火、ハザードマップ、気象災害と環境問題 | やや易 |
問1は地震と火山噴火の予測・予報についての正文選択問題、問2は火山のハザードマップを作るために用いる資料としての妥当性を問う問題、問3は気象災害と環境問題の誤文選択問題で、いずれも自然災害・環境問題についての一般的な知識で正答できる問題である。
平均点(過去5年分)
年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 |
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平均点 | 33.52点 | 27.03点 | 29.62点 | 34.13点 | 32.5点 |