地学

総評と分析

※前年との比較は、2021年度大学入学共通テスト(1/16・17実施)との比較です。
前年同様に考察・読図・計算を含む多彩な問題が出題され、読図や文章読解のウェイトが大きくなった。


出題形式は昨年と大きな変化はないが、単純な知識問題が減少して読図や文章読解のウエイトが大きくなった分、解答にやや時間を要すると思われる。

問題分析

大問数 昨年と変わらず5。
設問数 昨年より1増加して、計30。
解答数 昨年より1増加して、計30。

問題量

  • リード文や問題文は長めだが、問題文をしっかり読まなくても解答できる問題もある。ただし、慎重に読むべき問題文の見極め、図版の読み取りに時間を要するだろう。
  • 計算問題は2問で、昨年よりも減少した。2問ともやや複雑な計算であった。
  • 問題数や文章量は増加し解答に時間を要するが、全体の問題量は時間に対して適量の範囲内と思われる。

出題分野・出題内容

  • 第1問は昨年同様分野横断型の問題であり、大気・宇宙・地球・岩石分野から出題された。
  • 第2問は地球分野から重力、地磁気、火山地形について出題された。
  • 第3問は岩石と地質地史からの出題で、近年出題されていた地質図やルートマップは出題されなかった。
  • 第4問は大気海洋分野からの出題で、図表の読み取りと数値の扱いが中心の構成であった。
  • 第5問は宇宙分野からの出題で、本年は第1問と加えて宇宙分野の問題数が多くなった。

出題形式

  • 約半分が図表に関連した問題であり、科学的思考力が問われている。
  • 選択問題は6択が2題、8択が1題、4択が27題で、前年と同様に選択肢の数は4択が中心であった。
  • 正誤の組合せ問題が1題のみでかなり減少した。

難易度(全体)

  • 前年と比べてやや易化した。正確な知識、丁寧な資料の読み取り、やや複雑な計算を求められる問題も増加していたが、基本的な知識だけで解ける問題の正答率が非常に高かったと思われる。

第1問 (17点満点)

配点 出題内容 難易度
17 大気の層構造、恒星、走時曲線、放射性同位体、マグマ 標準

第1問は20世紀初頭における地学的な発見をテーマにした分野横断型の問題形式である。問1は中間圏の気温の高度分布の知識、問2は主系列星の光度と表面温度の関係の知識のみで正答できる。問3は走時曲線の傾きが同じなのでP波速度も同じであり、モホ面が深いほど走時曲線の折れ曲がり点の震央距離は遠くなることがわかれば正答できる。問4は、放射性同位体の壊変に伴う指数関数的な減少のグラフを選べばよい。問5は、マグマが冷却するときの鉱物の晶出順序とマグマの化学組成の変化を覚えておこう。

第2問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 7 アイソスタシーと重力異常、遠地震波の伝わり方 やや難
B 7 地磁気の逆転とチバニアン やや難
C 6 火山の形とマグマの粘性、噴火様式

Aの問1は、アイソスタシーが成り立っている地域ではフリーエア異常が0になることを覚えておこう。問2は、S波が外核を伝わらないことに注意する。Bの問3は現在の地球磁場の向きとその逆向きとを答えればよい。問4は、地磁気異常の縞模様によって海洋底の年代が容易に測定できるようになったことを覚えておこう。Cの問5・問6は火山地形とマグマの性質に関する基本的な知識問題である。

第3問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 7 広域変成岩の組織と生成場所、分布
B 10 示準化石、酸素同位体比と気候変動 標準
C 3 西南日本の地質帯の形成時期 標準

Aの問1は結晶片岩と片麻岩の岩石組織についての、問2は広域変成作用の起こる場所と広域変成帯についての知識問題である。Bはすべて知識問題で、問3では示準化石についての定義という地学基礎の範囲を知識が問われる一方で、問4では気候変動に伴う酸素同位体比の変化についての、問5ではミランコビッチサイクルについての、ともに地学基礎の範囲外の知識を問われている。

第4問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 飽和水蒸気圧、空気塊の上昇と断熱変化、雲の形成 やや難
B 10 海水の密度、海水のアイソスタシーと地衡流 やや難

Aの問1は飽和水蒸気圧曲線を読み取って露点と雲底高度を求める計算問題である。問2は自由対流高度に達した空気塊の状態と運動についての知識問題、問3は雲粒の形成と成長に関する知識問題である。Bの問4は海水の密度と水温についての基本的な知識問題である。問5は海面水位の分布に加えて海面下の密度構造も考慮した海水のアイソスタシーを計算する問題で、地殻とマントルのアイソスタシーと同様の立式ができるかが鍵である。問6は、海面水位の高低から海水中における水圧の大小が、圧力傾度力の向きから地衡流の流れる向きがわかる。

第5問 (23点満点)

配点 出題内容 難易度
A 3 天体の動きと時刻 標準
B 7 金星の惑星現象、火星の見かけの運動 標準
C 13 銀河の構造・形、恒星の進化、白色矮星、恒星の明るさ 標準

Aの問1は天の赤道と黄道の混同には気をつけよう。Bの問2は、東方最大離角と西方最大離角の違いは問われていないので、最大離角の定義のみに注意する。問3は、外惑星の逆行が衝の前後で起こること、内惑星の公転周期が外惑星よりも短いことから正答できる。Cの問4は楕円銀河と不規則銀河の区別がやや難しい。問5は会話文から、銀河Cでは超新星爆発を起こす大質量の恒星はすでに寿命を迎えているはずと読み取れる。問6の正答の選択肢は白色矮星の基本的な知識のみで選べる。問7は5等級小さくなるごとに100倍明るくなることから、等級の正負に注意して計算すればよい。

平均点(過去5年分)

年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
平均点 46.65点 39.51点 46.34点 48.58点 53.77点
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