現代社会

総評と分析

全体的な形式にそこまで大きな変更はなく、各分野の基礎的・基本的知識に加え、思考力・判断力も幅広く問われている。


問題の形式は前年からそこまで大きな変更がなく、問題文・資料の量も前年並みだった。しっかりと教科書の知識を習得した上で、共通テストの形式を意識して、思考力・判断力が問われる問題の対策をした受験生とそうでない受験生とで差が生まれただろう。

問題分析

大問数 5(前年と同じ)
設問数 30(前年と同じ)
解答数 30(前年と同じ)

問題量

  • 大問数・設問数・解答数はそれぞれ前年から変更がなかった。
  • 第5問は前年同様「課題探究学習」で、設問数・解答数はそれぞれ3と前年の5から減少した。

出題分野・出題内容

  • 大問内の小設問は、「政治・経済的事項」「倫理的事項」が分野横断的に構成されている。
  • 主権者教育など、「現代社会」において重要視されている内容を意識した出題が見受けられる。

出題形式

  • 共通テストに移行して以降、「組合せとして最も適当なもの」を選ばせる設問が大幅に増加している。
  • センター試験最終年から並び替え問題、正誤の組合せ問題が毎年出題されるようになっていたが、今年はどちらも出題されなかった。
  • 正しい記述をすべて選ぶ問題が減少した。

難易度(全体)

  • 前年と比べて、難易度に大きな変化なし。問題の形式にそこまで大きな変更は見られず、問題を解くために必要な知識も基礎的・基本的なものであった。これまでの共通テストの出題傾向を踏まえて、限られた時間内で、複数あるいは長文の資料を正確に読解する演習を重ねた受験生は、冷静に解くことが出来たのではないだろうか。

第1問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
25 海外研修先での生活、授業 標準

高校生が参加した学校主催の海外研修を題材に、経済分野を中心に出題された。問2、3、4は、いずれも平易な4択知識問題。問1、5、6、7は資料やメモを読み、判断する問題。問1はサービス貿易の四つの形態について、具体的な行動がどの形態に該当するかを判断する問題。問6はフランスで2004年に制定された「宗教的標章法」と同法に対する国連子どもの権利委員会が勧告を行ったことを念頭に置いた問題。この出来事を知らなくても、国連の勧告がどのようなものであったかは本文のA~Cの資料で理解できる。

第2問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 将来の目標 標準

高校生の将来の目標についての会話等を題材に、倫理分野を中心に出題された。問2は「自分についての誇り」に関する資料の読み取り問題。国内の項目間の比較か、項目ごとの4か国の比較か、会話文と選択肢を丁寧に読み取る必要がある。問5は社会参加に関する先哲の考えについての知識問題。アーレントやレヴィナスなど現代社会においてはそこまで教科書の掲載頻度の高くない人物が出題された。問7はマズローの欲求階層説についての問題。例示された欲求が、低次から何番目の欲求に該当するか選ぶ形式で、少し解答の際に迷いが生じるか。

第3問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
20 大学の経済学部の体験講義 標準

高校生が参加した大学の体験講義を題材に、経済分野を中心に出題された。問2、3、6はいずれも平易な4択知識問題。問1は名目GDPと実質GDPの違いについて、ノートを読みながら空欄に入る適語の組み合わせを問う問題。問4の「サブスクリプション(サブスク)」、問5の「プラットフォーム」など、近年よく耳にする言葉を題材に出題された。問5では、空欄X・Yで一つのプラットフォームに利用者が集中するという傾向に誘導しつつも、その傾向が利用者にとっては好ましいとは限らないということを読み取らせる問題。

第4問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 裁判の傍聴 やや易

裁判の傍聴に行った高校生の感想文や、その後の授業で行われた会話文を題材に、政治分野について出題された。問1、4、5、6は、いずれも平易な4択知識問題。模試や過去問演習にしっかり取り組んできた受験生は、似たような問題を何度も見てきただろう。問3と問7はそれぞれ会話文中の3つの空欄に入る記述を選ぶ問題。問3は読解力が、問7は地方自治の直接請求権についての知識が必要になるが、こちらも平易な問題。

第5問 (11点満点)

配点 出題内容 難易度
11 課題探究学習「子どもの貧困」 標準

高校生の課題探究学習「子どもの貧困」について、資料の読み取りや図、会話文に入る記述を選ぶ問題が出題された。問1は絶対的貧困と相対的貧困の定義についてのメモと、相対的貧困についての2つの表の読み取り問題。問2は示された相対的貧困の深刻化により子どもに生じている問題2つの内、片方の問題に対する官民の取組みとして当てはまるものをすべて選ぶ問題。取組みの例は4つあり、それぞれ4行と分量も多いが、判断はそこまで難しくはない。問3は会話文中の空欄に入る記述を選ぶ組合せ問題。空欄Aは知識が、空欄Bは読解力が必要だが、それぞれ解答は容易である。

平均点(過去5年分)

年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度
平均点 60.84点 58.4点 57.3点 56.76点 58.22点
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