化学基礎
総評と分析
第1問は基本的な知識を問われる問題が多く、第2問は考察的な総合問題で、実験内容を正しく把握する必要があった。
第1問は基本的な小問集合であった。一方、第2問の問3の正誤問題は内容が細かく問われた。また、第2問の問5では得られた情報の活用を求められており、量的関係の把握が難しい問題であった。
問題分析
大問数 | 2で昨年から変更はない。 |
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設問数 | 昨年に比べ、1増の14。 |
解答数 | 昨年に比べ、5増の20。 |
問題量
- 計算問題の数は昨年とほぼ同じであり、文章量もほぼ同じであった。全体的に見ても問題量は昨年とほぼ同じであった。
出題分野・出題内容
- 第1問は、原子構造、分子の極性、物質の三態、分子の構造と気体の密度、物質量の計算、アルミニウム、金属のイオン化傾向、中和滴定の小問が出題され、第2問は、しょうゆに含まれる塩化ナトリウムの定量実験に関する総合問題が出題された。
- 第1問は、教科書レベルの基本問題が中心。問9の中和滴定の問題は、体積やモル濃度が文字式で与えられているため、やや解きにくい。
- 第2問は、考察的な問題が多く含まれている。特に、問3以降は実験内容を正確に理解していないと正解を導けない。
出題形式
- 第2問の問4では、与えられた実験結果のグラフをもとに別の実験結果を示すグラフを選択するという、共通テスト化学基礎では初めての形式の問題が出題された。また、第2問の問5bのように計算結果の数値を穴埋めで答えさせる問題が復活した。
難易度(全体)
- 第1問はほとんどが基本的な問題で解きやすい。第2問は実験考察問題で、実験の内容を正確に把握していないと正解を導けないものが何問か含まれている。全体としての難易度は、昨年よりもやや易化した。
第1問 (30点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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問1 | 3 | 原子の構造 | 易 |
問2 | 3 | 分子の極性 | やや易 |
問3 | 3 | ハロゲンの構造と反応性 | やや易 |
問4 | 3 | 物質の三態 | 標準 |
問5 | 3 | 二酸化炭素とメタンの構造と密度 | 標準 |
問6 | 4 | 物質量の計算 | 標準 |
問7 | 3 | アルミニウム | 標準 |
問8 | 4 | 金属のイオン化傾向 | やや易 |
問9 | 4 | 中和滴定 | 標準 |
問1の中性子数を求める問題と問2の無極性分子を選ぶ問題は、いずれも基本的。問3はハロゲンが酸化力を有することがわかっていれば平易。問4は物質の三態に関するグラフの問題で、正しい記述を2つ選ぶ必要があり、失点しやすい。問5は同じ条件下では、分子量と密度が比例関係にあることがわかれば解ける。問6は物質量に関する基本的な計算問題。問7は誤りの記述が明白なので、解きやすい。問8は金属のイオン化傾向を覚えていれば楽に解ける。問9はモル濃度や体積が文字で与えられているため、やや解きにくい。
第2問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
問1 | 6 | 化学反応式の係数、酸化数 | 易 |
問2 | 3 | 実験器具 | 易 |
問3 | 4 | 実験操作 | やや難 |
問4 | 3 | 沈殿の質量変化 | 標準 |
問5 | 4 | モル濃度と質量の算出 | やや難 |
しょうゆに含まれる塩化ナトリウムの量を求める実験考察問題。問1のaは係数を決める問題でごく平易。問1のbは酸化数の求め方の規則がわかっていれば楽に解ける。問2は定量実験で滴下する器具ということから、ビュレットとすぐわかるはず。問3は実験操作や実験結果を正しく理解する必要があり、さらに解答を2つ選ばなければならないのでやや難しい。問4はAgClがすべて沈殿した後は、一定となることに気づけば解ける。問5は実験操作の正確に把握していないと正解を導けない。
平均点(過去5年分)
年度 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 |
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平均点 | 27.73点 | 24.65点 | 28.2点 | 31.22点 | 30.42点 |