地学基礎

総評と分析

宇宙分野の問題が1題増加した。組合せ問題が減少したが、与えた図表からやや高度な考察をさせる問題が増加した。


大気・海洋分野が1題減少した分、宇宙分野が1題増加した。昨年は12題だった組合せ問題の数が8題に減少した。図表を与える問題は7題で昨年並みだが、図表を読み取らせてやや高度な考察をさせる問題が増加した。

問題分析

大問数 昨年と変わらず4。
設問数 昨年と変わらず15。
解答数 昨年と変わらず15。

問題量

  • 全体の文章量は昨年並みである。
  • 全体の問題量は時間に対して適量である。

出題分野・出題内容

  • 第1問は固体地球分野、第2問は大気・海洋分野、第3問は宇宙分野、第4問は自然の恵みをテーマとした固体地球分野、大気・海洋分野の総合問題だった。
  • 大問数は昨年に続いて4問のままだが、設問数は第2問が1問減少し、第3問が1題増加した。大気・海洋分野が第4問を合わせても1題減少した一方、宇宙分野が1題増加したことで宇宙分野のウエイトが少し高くなった。
  • 知識問題は基本的なものがほとんどであった。

出題形式

  • 6択形式の問題が1題、それ以外は全て4択形式の問題だった。
  • 複数の知識を組み合わせて解答する必要がある知識問題が目立った。
  • やや高度な考察を要する図表問題が多数あった。
  • 数値を扱う問題は2題だった。

難易度(全体)

  • 昨年並みの難易度だと思われる。高度な考察を要する問題もあったが、問題文中の手掛かりを見逃さなければ基本的な知識で解ける問題もあったので、注意深さが得点率を分けたと思われる。

第1問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
7 地球の全周の計測、プレート境界 標準
6 鍵層、地質柱状図と地層の対比 標準
6 自形、火山の形とマグマの性質 やや易

Aの問1はエラトステネスの方法にならった地球の大きさの計測に関する計算問題である。問2はプレートの境界についての知識問題で、深発地震と火山活動を起こすプレート境界の種類はそれぞれ覚えておこう。Bの問3は鍵層に適した地層についての知識問題、問4は柱状図から堆積速度や堆積環境について考察する問題で、地層の対比の目的や利用法についての理解度が問われている。Cの問5は火成岩の薄片のスケッチから自形の知識を問う問題、問6の火山の形とマグマについてまとめた図の誤りを指摘する問題で、ともに平易な知識問題である。

第2問 (7点満点)

配点 出題内容 難易度
4 地上天気図と移動性高気圧 標準
3 黒潮の流路 やや難

Aの問1は地上天気図の読図からの移動性高気圧の通過時間の計算と知識の組合せ問題で、問題の緯度における経度幅は与えられているので、計算は難しくない。Bの問2は年平均海面水温の分布図から典型的な黒潮の流路を読み取る問題で、九州・沖縄における流路は、25℃の等水温線に着目して等水温線が北側に張り出した部分を流れると考えればよい。

第3問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 星団と星雲、太陽の黒点、銀河の構造 標準

問1は散開星団と球状星団の違い、散光星雲と惑星状星雲の違いについての、問2は星雲が輝く理由についての、問3は黒点が黒く見える理由についての知識問題であり、問2が紛らわしい選択肢が多いのでやや間違いやすい。問4は銀河系の断面の模式図を与えた上で銀河系円盤部の直径と銀河系から見たM31の方向を問う問題で、M31は地球からは天の川と異なる方向に見えることから、銀河面から離れた方向にあるとわかる。

第4問 (10点満点)

配点 出題内容 難易度
10 火山の恵み、化石と資源、降水現象

自然の恵みを題材にした火山と地質、気象の融合問題である。問1ではマグマ活動に伴う資源の形成や熱エネルギーによる温泉と地熱発電、問2では石灰岩の形成と堆積作用・変成作用、問3では降水をもたらす前線、低気圧、季節風による水蒸気の供給について問われている。いずれも正しい選択肢の判別がしやすく、平易な知識問題である。

平均点(過去5年分)

年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度
平均点 35.47点 33.52点 27.03点 29.62点 34.13点
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