世界史B

総評と分析

センター試験から大きく傾向が変わり、史資料の出題が増加した。中世ヨーロッパのペスト流行についての問題が出題された。


試行調査の傾向が踏襲されて、豊富な史資料(図版・表・グラフ・史料)が提示され、その上で小問が並べられた。特徴的な設問として、中世ヨーロッパで発生したペストの流行や、また歴史学の手法を題材とした問題、小説『1984年』を引用した歴史修正に関する問題等が出題され、多様で目を引くトピックが扱われた。

センター試験・試行調査との相違点

  • センター試験に比べて史資料の使用が増加した。また、2018年の試行調査と概ね同じ問題量・傾向だったが、複数正解の問題や連動式の問題が出題されなかった。

問題分析

大問数 5
設問数 34
解答数 34

問題量

  • 史資料問題が多く、読解に時間がかかるため、60分で解答するには分量がやや多い。

出題分野・出題内容

  • 西洋・東洋史という観点ではバランスよく出題された。東洋史の内訳は東アジアを扱った内容が多く、インドや中東等の他の地域を扱った問題が少なかった。
  • 時代別では、近代史(19世紀~20世紀前半)を扱った問題が圧倒的に多く、現代史(20世紀後半以降)を扱った問題がやや少なかった。
  • 分野別では、政治史・社会経済史・文化史が満遍なく出題された。

出題形式

  • 豊富な史資料(図版・表・グラフ・史料)が提示され、その上で小問が並べられるという形式が多かった。
  • 文と語句の組合せを問う問題の出題が多かった。一方、試行調査に存在した複数正解の問題や、連動式の問題が無かった。

難易度(全体)

  • 昨年度のセンター試験と同程度の難易度。要求される知識水準はやや下がったが、史資料の読解力が求められ、解答に要する時間が増えている。2018年の試行調査からは、要求される知識水準が下がったため、やや易化した。

第1問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 『史記』に見える始皇帝死亡時の逸話 標準
B 6 マルク=ブロックの説く歴史家の仕事 標準

歴史研究における史料調査を題材として、関連する事項が問われた。問1は始皇帝の大臣ということから李斯を導いて解く。問2はセンター試験らしさの残る4択の正誤判定。問3は司馬遷と同時代の皇帝は前漢の武帝であるが、それに該当する選択肢が二つあることに注意したい。下線部bに直接関連する内容の平準法の選択肢が正解。問4も文章Bの全体を読んで解答を出す問題。問5は文章Bの話題がフランス革命とわかれば知識問題。文章の読解力が問われた問3・問4は受験生の出来が分かれる問題だったと思われる。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 イギリスの貨幣鋳造・流通量 標準
B 9 アジアの貨幣の素材やデザイン 標準

世界史上の貨幣をテーマとする問題で、Aでは近代欧米史、Bではアジア史が問われた。Aの問1・問2は共にグラフを題材とするが、問1がセンター試験同様、年代に着目すれば解答できたのに対し、問2ではグラフからの推測を必要とした。問3は小問の長い問題文からヒントを拾う必要があった。図版の貨幣に描かれているのはヴィクトリア女王である。Bは会話文への補充を中心とする問題が三つ並んだ。問6の空欄キに当てはまるのはムスタファ=ケマルで、これを会話文の前後部分から導ければ難しくない。

第3問 (24点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 中世ヨーロッパのペスト流行 標準
B 9 日本人によるロシア評 標準
C 6 『1984年』に見る歴史観 標準

『デカメロン』や『1984年』という著名な小説などをテーマとした大問。文学作品や歴史資料を読み取り解答する問題が各小問で出題された。問1は確実に正解しておきたい。問2の病に関する説明は資料文を読まないと選択肢を絞れない。問3・問4はセンター試験を踏襲した正誤判定の4択問題が並んだ。問5も資料文の読み取りが必要だが、下線部の内容からナロードニキ運動とわかる。問8は歴史研究を意識した新傾向の問題。読み取りはさほど難しくないだろう。18世紀から『四庫全書』を導くことがポイントとなる。

第4問 (26点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 ベルリン条約(1878年) 標準
B 8 日中をめぐる戦後の国際関係 標準
C 9 英領インドの英語教育 標準

世界史上の文書がテーマとされ、資料の読み取りが求められる問題が並んだ。Aの資料からベルリン条約を同定するのは難しくないが、空欄アがブルガリアであることを想起するには条約の精密な理解が必要である。問2は本年唯一の地図問題であった。Bは会話文と三つの資料を読む必要があるが、比較的読みやすく、出題形式もこれまでのセンター試験に近かった。問6は思考力を問う問題ではあるが、選択肢を吟味すれば解答できる。問7・問8は、Cの資料と会話文の両方をきちんと読む必要があった。

第5問 (17点満点)

配点 出題内容 難易度
A 8 ヨーロッパ旅行記 標準
B 9 韓国の石碑 標準

旅と歴史がテーマとされた。Aはヨーロッパの3つの地域について書かれた文章から出題された。問2は、地域2の都市はロンドンであり、この国が14~15世紀に王位をめぐって争った戦争は百年戦争を指すので、空欄アはフランスとわかる。Bは韓国にある石碑を見ての会話文から出題された。問5は、空欄オに入る語は、朝鮮王朝で盛んだった朱子学であるから、王守仁によって批判されたが正しい。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
平均点 62.97点 65.36点 67.97点 65.44点 67.25点
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