地学

総評と分析

試行調査の出題傾向を引き継いだ。計算問題に加え細かい知識を問う問題も出題された。


知識に加え考察・読図・計算を含む多彩な問題が出題された。正答を絞りやすい問題と、細かい知識が必要な問題が混在した。試行調査と同様に分野横断的な出題や探求活動のレポート形式の出題が見られた。

センター試験・試行調査との相違点

  • 昨年度のセンター試験と比べて図表を用いた問題や考察問題は減少した。また、試行調査(2018年度実施)と比べて出題形式はほぼ変わらないが、問われていることは従来通り教科書の内容である。また、試行調査やセンター試験と問題量に大きな変化はない。

問題分析

大問数 5
設問数 29
解答数 29

問題量

  • リード文や問題文の文章量は多いが、問題文をしっかり読めば解答できる。分量が多い分、図版や問題文の読み取りに時間を要するだろう。また計算問題は5題だが、複雑な計算ではなく、全体の問題量は時間に対して適量と思われる。

出題分野・出題内容

  • 全29題中、約半数は地球分野から、8題が大気・海洋分野から、7題が宇宙分野から出題されており、出題分野の内訳は試行調査よりも2020年度センター試験に近い。
  • 図表を読み取る問題はやや減少し、知識を組み合わせた問題、計算問題が中心の出題だった。
  • 第1問は試行調査に見られた地球、大気海洋、天文の複数の分野横断的な出題だった。
  • 第3問も試行調査に見られた探求活動のレポート形式の出題だった。

出題形式

  • 29題中4択以上の問題は、6択形式の問題が1題、9択形式の問題が1題とほぼ4択問題であり、選択肢の多い問題は少なかった。また、計算問題は5題、正誤の組合せ問題は5題だった。

難易度(全体)

  • 昨年度のセンター試験と比べても、試行調査と比べても、やや易化したと思われる。細かい知識、丁寧な資料の読み取りや数値計算を要する問題がある一方で、基本的な知識のみで正答を絞りやすい問題も複数あった。

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 地球における水の存在とさまざまな地学現象 標準

水がさまざまな地学現象にもたらす影響を問うた、分野横断的な融合問題である。問1は冬の季節風への日本海からの水蒸気の供給に関する、問2は海溝でのマグマの発生に関する、問4は全球凍結と氷期・間氷期変動に関する基本的な知識があれば正答できる。問3は氷河の消滅による地殻の隆起量の計算問題で、アイソスタシーの計算に慣れているかが正答率を左右する。問5はA型星、M型星、太陽(G型星)におけるハビタブルゾーンの距離の違いを問うた問題で、主系列星のスペクトル型による光度の大小の知識があれば正答できる。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
8 磁極の移動速度、磁極の移動する原因 標準
3 走時曲線とP波速度 やや易
7 隕石の組成、マントルの組成 標準

Aの問1は磁北極の移動角距離から移動速度を求める問題で、5年間の移動であることを見落とさないよう注意する。問2は地磁気の永年変化の原因に関する基本的な知識問題である。Bの問3は、震源が地表にない地震の震央付近の屈曲した走時曲線からP波速度を求める問題で、震央の震源距離は震源の深さであることに気付けば正答できる。Cの問4は石鉄隕石の構成成分、問5はマントルの元素の存在比に関する知識問題で、問5はかんらん岩にAlは少ないことに気付けば正答できる。

第3問 (21点満点)

配点 出題内容 難易度
7 高温低圧型変成作用 標準
14 ルートマップ、走向・傾斜、示準化石、大陸の地殻変動 標準

Aの問1、問2は高温低圧型の広域変成作用に関する問題で、問1は基本的な知識問題、問2はこの変成作用で起こる岩石や鉱物の変化を問う問題だった。問2は紅柱石、珪線石、らん晶石の温度圧力条件を覚えていなくても、消去法で正答できる。Bはルートマップの問題で、問3は地点Bと地点Dの標高が同じで南北に並ぶことから即答できるが、問4は凝灰岩層の傾斜の方向や分布も考える必要があり、やや難しい。問5は中生代の示準化石に関する、問6は中生代の大陸移動に関する基本的な知識問題である。

第4問 (23点満点)

配点 出題内容 難易度
10 梅雨期の天候、温帯低気圧、地上天気図と高層天気図 標準
13 転向力、エクマン輸送、西岸強化、エルニーニョ やや難

Aの問1は梅雨期のやませとジェット気流に関する、問2は温帯低気圧と気圧の谷、暖気と寒気の運動に関する知識問題である。問3は夏の地上天気図であることは読み取りやすく、対応する高層天気図は、問題文で言及されている背の高い高気圧から判別できる。Bの問4、問5はエクマン輸送に関する問題で、問4は知識問題で、問5は与えられた図からエクマン輸送量の変化を読み取れば正答できる。問6は西岸強化の原因となる海面の高まりが生まれる理由について、問7はエルニーニョの影響についての、やや細かい知識問題である。

第5問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
13 ダークマター、周期光度関係からの距離測定、活動銀河、赤方偏移 標準
7 散開星団と球状星団のHR図

Aの問1はダークマターに関する、問3は活動銀河に関する基本的な学習の有無が正答率を分けるだろう。問2は等級差から距離を求める計算問題、問4は赤方偏移から銀河の後退速度を求める計算問題で、それぞれで用いる公式を覚えていないと正答は難しい。Bの問5、問6は散開星団と球状星団のHR図の違いとその理由に関する基本的な理解を問うた問題である。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
平均点 39.51点 46.34点 48.58点 53.77点 38.64点
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