生物

総評と分析

すべてが必答問題であった。生物学的に重要なテーマが分野横断的に出題され、読解力や考察力が総合的に試された。


身近な自然や事象に含まれる生物学的に重要なテーマを、多様な視点より複数の分野から解析させていく分野横断的な出題であった。実験・観察や資料解析を通じて読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容となっている。

センター試験・試行調査との相違点

  • 大問ごとに出題分野が独立しているセンター試験とは異なり、多くの大問で分野横断的に出題された。また、選択問題は廃止され、すべて必答問題となった。初見の実験・観察や資料解析がセンター試験以上に多く思考力が試されており、試行調査を踏まえた内容であった。

問題分析

大問数 6
設問数 26
解答数 27

問題量

  • 大問数は昨年同様6題であり、試行調査の5題から増加した。問題ページ数31ページは、昨年の34ページより減少し試行調査の30ページと同程度であった。

出題分野・出題内容

  • 多くの大問で、観察材料や特定のテーマを題材として、複数の分野から多くの視点が盛り込まれて出題された。
  • ミクロな視点である遺伝情報の発現と、マクロな視点である生態系に関連させた内容が、複数の大問で扱われている。
  • 単純な知識問題はほとんど見られず、知識を活用する問題や、資料解析・実験考察問題が中心であった。

出題形式

  • 第1〜4問は設問数(3〜4問)、配点(12〜15点)が少なく、第5・6問はA・Bの2分割形式であり、設問数(7問・5問)、配点(27点・19点)ともに多く設定された。

難易度(全体)

  • 昨年度のセンター試験と比べて易化、試行調査(2018年度実施)と比べて易化。昨年度よりも思考力が試される内容だが、文章や資料から素直に読み取れるものが多く取り組みやすかった。

第1問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 乳糖の代謝と進化 標準

乳糖をテーマに、代謝、遺伝情報の発現、進化から分野横断的に出題された。問1は大腸菌による発酵を知らなくても、選択肢から推測できるだろう。問2は遺伝子頻度の計算。問3は遺伝子発現に関する知識問題。問4は複数の実験データを総合し、さらにSNPのタイプと形質の対応関係を読み取り、選択肢を吟味する必要がある。データを読み取るだけでなく、さらに考察を一段階踏まなければならない点が、新傾向の考察問題といえる。

第2問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
15 外来生物の侵入 標準

外来生物の侵入に対し、形質を進化させて適応したアノールトカゲについての実験考察問題である。生態系と進化から分野横断的に出題された。問1は外来生物についての知識。問2は典型的だが、問3は実験2・実験3を総合し、さらに問4は全実験結果をまとめるという段階的な考察問題。全体でまとめる問題は、国公立などの入試では最後の論述問題として見られることがよくあるが、最近のセンター試験ではあまり見られなかった。ただ、いずれも選択肢と実験結果を照合すれば正誤の判断は難しくない。

第3問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 生産構造図 やや易

生態系の分野から、群落全体の生産構造図を早春と初夏で比較する問題が出題された。会話文の穴埋めも見られた。問1は生産構造図を読み取る問題。直前の会話文の内容は図からは直接読み取れないので注意が必要である。問2・問3は計算問題。文章中の内容から素直に計算すれば正解できるだろう。

第4問 (13点満点)

配点 出題内容 難易度
13 鳥の歌の学習 やや易

鳥の繁殖期における歌について、学習との関連を実験した、環境応答と生態系の分野横断的な問題。問1は知識問題。刷り込みや慣れが学習であることを忘れないようにすること。問2は表の内容を読解する典型的な実験考察問題。問3は文章の穴埋めだが、空欄の前後関係から解答の選択はしやすい。

第5問 (27点満点)

配点 出題内容 難易度
A 12 被子植物の発生、組織の分化 標準
B 15 根の緑化と植物ホルモン 標準

植物をテーマにした、発生と環境応答の分野横断的な問題。A:問1の知識問題は複数の分野の知識も必要となる。問2・3は実験考察。複数の組合せを選ぶので正確な理解が必要だが、読解自体は難しくはない。B:問4は根が緑化する現象を検証する実験考察。問5は根の緑化という見慣れない現象と、既知の現象を関連付ける興味深い内容だが、問題自体はオーキシンの基本的な知識問題である。問6は実験の設定を考える問題で、思考力がより求められる問題といえる。

第6問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
A 7 眼の形成 やや易
B 12 光の受容と学習 やや易

眼をテーマにした、発生と環境応答の分野横断的な問題である。A:問1は発生のしくみについての基本的な理解が問われた。問2は、調節タンパク質の働きについての理解を基にして、眼の形成について問うた考察問題であり、素直に空欄アから順に考えればよい。B:問3は眼と光の受容について、問4・問5は光の受容と学習についての典型的な実験考察問題であった。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
平均点 57.56点 62.89点 61.36点 68.97点 63.62点
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