日本史B

総評と分析

出題形式に多少の工夫があり、読み取り中心の史料問題がやや多かったが、センター試験型の問題形式も多く見られた。


これまでのセンター試験型の問題形式を基本として、試行調査で示された思考力・判断力を問う問題も散見された。問題の素材は「ホワイトボード」などを使った目新しいものがありつつも、知識を重視した問題も多かった。

センター試験・試行調査との相違点(第1日程との相違点)

  • 昨年度のセンター試験と比べて問題数が減少し、試行調査(2018年度実施)と比べても問題数が減少するとともに資料問題も減少した。一方で、第1日程と比べて史料問題が若干増え、思考力・判断力を問う傾向が強まった。

問題分析

大問数 6
設問数 31
解答数 32

問題量

  • 設問数・解答数は減少したものの、問題量自体に大きな変化はなかった。

出題分野・出題内容

  • 出題分野は、通史(縄文~大正)・古代・中世・近世・近代・近現代史であった。戦後史については2問の出題にとどまった。
  • 出題内容は社会・文化史に関わる問題が比較的多かった。

出題形式

  • 4つの選択肢の文章の波線部の正誤を問う問題や、表に数値を当てはめる問題、議論を支持する二つの層とその理由を問うという、二段階の思考を要する問題などが出題された。

難易度(全体)

  • 昨年度のセンター試験と比べてやや難化した。正確な知識を必要とする問題などが比較的多い一方で、史料問題の読み取りにやや時間を要するなど、思考力・判断力を重視する傾向も強まった。ただ、図版などの資料問題や複雑な設問形式の問題はさほど見られず、試行調査(2018年度実施)と比べてやや易化した。

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 古代~近代の政治・外交・文化 標準
B 9 原始~近代の政治・社会・文化 標準

女性史をテーマに、原始・古代~近代の主に政治・社会・文化について問われた。センター試験でよく用いられた会話文形式のリード文に、女性に関する史料が3点示されての出題であった。問1の空欄イは、普通選挙の意味と史料1の時期(1918年)の有権者がどうであったかを合わせて考えることがポイント。問2はIIIの時期の判断に迷ったかもしれない。阿倍比羅夫の派遣は斉明天皇の時。問5のXの判断には、Bの会話文を参考に考える必要がある。

第2問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 古代の政治・社会・文化 標準

三善清行による「意見封事十二箇条」の史料をもとに、古代の政治・社会・文化について出題された。素材は「レポート」の形式なども用いられた。問2は古代の各文化の特色を押さえていなければ、bとcで迷うかもしれないが、bの「遣唐使」やcの「中国南北朝」から考える。問3は各選択肢の文がやや長く読みづらいが、解答は難しくない。問4の(2)はYの判断がやや難しい。醍醐天皇による延喜の荘園整理令や班田は正確には「意見封事十二箇条」よりも前なので誤りともいえるが、今回は「当時」を醍醐天皇の治世で考えて正しいとする。

第3問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
A 10 鎌倉時代の政治・社会・文化 標準
B 6 室町時代の政治・文化 標準

Aでは源頼朝による奥州平定を、Bでは南北朝の内乱をテーマに、中世の政治・社会・文化について出題された。標準的な問題が大半で、比較的取り組みやすかっただろう。問2のa・bの「吾妻鏡」は鎌倉時代末期頃の成立とされる。問5はIの伊勢長島の一向一揆の時期でやや迷うが、これは織田信長による石山戦争を念頭に考えればよい。

第4問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 近世の政治・外交・社会・文化 標準

享保・寛政の両改革期の間の時期をテーマに、江戸時代の政治・社会などについて問われた。問1の田沼時代の出来事を選ぶ問題は、(2)の明和事件が正答。明和事件は実際には田沼時代ではないが、「最も適当」な事柄を問われているので(2)を選ぶ。時期に注意して学習できているかが解答の鍵。問3では、亜欧堂田善の銅版画に関して図が提示され、そこで用いられている絵画技法(遠近法)が問われた。図から陰影をつけて描かれていることに気づきたい。問4では史料1から蝦夷地を日本の従属下にすべきとの工藤平助の主張を読み取る必要がある。

第5問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 近代の政治・外交 標準

井上馨と渋沢栄一を取り上げ、幕末から明治時代における政治・外交を中心とする出題。設問形式はセンター試験に近く、確かな知識が求められた。問1は、IIIが1866年の改税約書のことと分かったかがポイント。問3は、まず「製糸」と「紡績」について正確に理解できている必要があった。その上でXでは生糸が外貨獲得の主力輸出品であること、Yでは明治末期には原料の綿花をインドなどから安価で輸入していたことを想起したい。問4は史料問題だが、元老の性格や役割を念頭に置けば史料も理解しやすい。

第6問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
A 9 近現代の政治・外交・社会 標準
B 13 近現代の政治・経済・社会 標準

近現代の食文化・食生活をテーマに、政治・外交・社会・経済を中心とする出題。一部に思考力・判断力を問う問題が見られた。問2は1930~2005年における食料消費量の推移について、付随する説明を手がかりに数値を当てはめる問題。落ち着いて判断すれば正解できるが、過去に見られたことのない出題形式であり戸惑った人も多いだろう。問5は、関税の維持か廃止の議論について、それぞれを支持する層とその理由を問う問題で、思考力が問われる。関税維持・廃止がどのような状況を生むかを正しく理解できていないと、なかなか判断に迷う。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度
平均点 65.45点 63.54点 62.19点 59.29点 65.55点
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