地理B
総評と分析
図表の分析等は、正確な知識があれば正解できる。第1日程に見られた仮想地域の出題が第2日程でも見られた。
地理の全分野について満遍なく学習することが求められている。図表の分析問題は、正確な知識があれば正解できる問題が中心で、比較的練られた問題であるものの、第1日程より平易である。なお、第4問の問4の問題文の一部に訂正があった。
センター試験・試行調査との相違点(第1日程との相違点)
- センター試験と比べると明らかに試行調査(2018年度実施)寄りの出題である。第1日程と比べると幾分取り組みやすい。
問題分析
大問数 | 5 |
---|---|
設問数 | 30 |
解答数 | 30 |
問題量
- 大問の問題文、小問の図、表、写真、選択肢表などの文字を除いた、設問文および選択肢の文字数は1万字程度で、センター試験、試行調査、第1日程に比べ2,000字ほど少なかった。とはいえ、問題文を迅速に読み、判断することが求められる。
出題分野・出題内容
- 出題分野は、世界の自然環境、資源、産業、都市と村落、地誌、地域調査の6分野である。
- 出題内容は、第1問は「世界の自然環境と災害」、第2問は「産業と貿易」、第3問は「人口と村落・都市」、第4問は「西アジア」、第5問は「福岡市とその周辺の地域調査」で、各大問の設問数は第1問から第5問まで各々が6である。
出題形式
- 設問数30問の出題形式の内訳は、4つの文の4択正誤判定問題は4問、4つの文の下線部の正誤判定問題は4問、2項目4択の組合せ問題は8問、3項目6択の組合せ問題は8問、2項目9択の組合せ問題は1問、図中の4択問題は4問、2項目6択の組合せ問題は1問であった。一方、単語のみの4択問題、試行調査に見られた3項目8択の選択問題や、第1日程で登場した図中の6項目中2項目の4択組合せ問題、空欄2か所を4択問題で同じものを2度使ってよい問題、2つの文の正誤4択問題は出題されなかった。
難易度(全体)
- 昨年度のセンター試験と比べるとやや難化しているが、2018年度実施の試行調査や第1日程と比べると幾分取り組みやすくなっている。
第1問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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A | 10 | 世界の土砂災害と人間活動 | 標準 |
B | 10 | 世界の森林 | 標準 |
世界の自然環境と災害に関する問題。問1はチリ海溝に注目し高度とプレートを判断する。問2は文章を熟読すればカが1月でキが7月とわかるが、(1)は明らかに誤りである。問3は水力発電からダムを連想し、海への土砂流出量は減少すると考える。問4は文章から森林の密度を分ける要因が気温だと見抜き答えを導く。問5は森林の炭素量の割合を示すグラフを丁寧に読み取り、慎重に判定する。問6は火災の起こりやすさは気温だけでなく湿度も関係することや、焼畑は熱帯地域で主に行われることから判断する。
第2問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
20 | 産業と貿易 | やや難 |
産業と貿易に関する問題。問1は農業が大都市で盛んでなく、小売業の従業者が人口に比例する傾向であることから判断する。問2は作物Aは輸送費がかかるため市場近くで生産されると考え、作物Bとの関係から解答を導く。問3はDは新潟で多いため田、Eは青森で多いため樹園地で、Fが畑である。そこから野菜は首都圏で収益が得られやすいと考える。問4は市場指向型工業に関する平易な知識問題。問5は東南アジアに日本の製造業が進出していることから判断する。問6は日本とアメリカ合衆国との距離や訪日中国人の買い物から判断する。
第3問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
20 | 人口と村落・都市 | 標準 |
人口と村落・都市に関する問題。問1の老年人口率の問題は、高齢化が始まった時期と進行速度から判断する。問2の女性の労働力率の問題は、欧米に比べて韓国の20代、30代が低いことなどから判断する。問3の集落形態の問題は、写真1がヨーロッパの円村であることから考える。問4の都市人口率の推移の問題は、文から各国の特徴を予想して解く。ある大都市の移動手段と昼夜間人口指数を問う問5は、大阪市の位置から考える。問6の日本のある都市の施設の立地問題は、駅周辺の施設の分布と間隔から判断する。
第4問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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A | 13 | 西アジアの自然環境や社会経済 | 標準 |
B | 7 | 西アジアのトルコと北アフリカのモロッコ | 標準 |
問1のリヤドの気候は、7月の平均気温が40℃近いことから判定する。問2は、イラクを流れる外来河川とアフガニスタンのカレーズから特定する。問3の1人当たりGNIと1日当たり原油生産量の問題は、サウジアラビアとトルコに注目して解く。問4のドバイの人口増加の寄与要因は、南アジアからの労働者の流入を考える。問5のトルコとモロッコの食料供給量の問題は、両国にイスラム教徒が多いことと両国の人口から特定する。問6の人口の国際移動に関する問題は、モロッコは南欧に移住者が多いこととトルコの難民受け入れ状況から考える。
第5問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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20 | 福岡市とその周辺の地域調査 | 標準 |
福岡市とその周辺の地域調査に関する問題。問1は空中写真の判定問題で、次ページの衛星写真からわかる。問2は福岡市の都市圏についてで、2つの図の比較から文の正誤は容易に判定できる。問3は福岡市の産業についてで、統計と会話文から判断できる。問4は写真の地域と人口統計の組合せの判定で、写真の説明文から判断できる。問5は市街地の地図の読み取り、問6は統計地図(図形表現図)の読み取りによる文の下線部の正誤判定で、ともに平易である。
大学入試センター試験平均点(過去5年分)
年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | 2017年度 | 2016年度 |
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平均点 | 66.35点 | 62.03点 | 67.99点 | 62.34点 | 60.10点 |