現代社会

総評と分析

全体的な形式に大きな変更はないが、資料の分量が増加し、各分野の基礎的知識に加え、読解力・思考力・判断力も問われている。


問題の形式は前年から大きな変更はないが、読み解くべき文章や資料の量は増加した。教科書の知識を習得した上で、共通テストの形式を意識し、思考力・判断力が問われる問題への対策をしたか否かで差が生まれただろう。

問題分析

大問数 大問数5は、前年から変更なし。
設問数 設問数は31で、前年より1増加した。
解答数 解答数も31で、前年より1増加した。

問題量

  • 大問数は前年から変更はないが、設問数・解答数でそれぞれ前年より1増加した。
  • 第5問は前年までと同様「課題探究学習」で、設問数・解答数がそれぞれ前年の3から4へと増加した。

出題分野・出題内容

  • 大問内の小設問は、「政治・経済的事項」「倫理的事項」が分野横断的に構成されている。
  • 「現代社会」において重要視されている内容を意識した出題が見受けられる。

出題形式

  • 単純な4択問題に比べ、「組合せとして最も適当なもの」を選ばせる問題が多い。
  • 前年は出題されなかった、出来事を年代順に並べる問題、課題探究の方法に関する問題が出題された。
  • 正しい(適切な)記述をすべて選ぶ問題が前年の1から6へと増加した。
  • 図表や文章などの資料の分量が増加し、その読解が必要な問題も増加した。

難易度(全体)

  • 前年と比べて、難易度に大きな変化なし。個々の問題の出題形式に若干の変更があり、読み解くべき文章や図表、資料の量が増加したが、問題を解くために必要な知識は基礎的・基本的なものであった。これまでの共通テストの出題傾向を踏まえて、限られた時間内で、複数あるいは長文の資料を正確に読解する演習を重ねた受験生は、冷静に解くことが出来たのではないだろうか。

第1問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 大学の授業「安全保障に関する政治と裁判」 標準

高校生が受講する大学の授業を題材に、政治分野を中心に出題。問1、4は正しい記述をすべて選ぶ組合せ問題。問2、6、7は空欄を補充する記述の組合せ問題で、そのうち問2は、前年は出題されなかった、出来事(法制定)を年代順に並べる形式との併用であった。問3は、2つの記述それぞれの構想を打ち出した人物名の組合せ問題。問5は日本国憲法における裁判官についての平易な4択知識問題。問1Aの大日本帝国憲法中の規定に関する知識問題と、問2の年代順の問題に若干手こずったかもしれないが、第1問の難易度は、全体として概ね標準と言える。

第2問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 働くことと生き方 標準

グループでの調査研究を題材に、倫理分野を中心に出題。問1、4は空欄を補充する記述の組合せ問題。問2、6は4択知識問題。問3は、示された表の内容を説明した記述を選ぶ4択問題。問5は、「接近-回避」型の葛藤に当てはまる事例をすべて選ぶ組合せ問題。問1では、前年は出題されなかった、課題探究の方法に関する内容が、「帰納法」と分野横断的に出題されていた。問3は、表に示されたデータ量が多めであり、さらに問4は、3つの記述がいずれも、選択肢としては長文になっている。問3、4はいずれも読解力・思考力・判断力が必要。

第3問 (21点満点)

配点 出題内容 難易度
21 日本の政治制度 標準

大学生と高校生の兄弟の将来の夢についての会話文を題材に、政治分野を中心に出題された。問1、3、4、7は、いずれも特に難しい知識を要しない平易な4択知識問題。問2は日本を含む4か国の全雇用者に占める公務員の割合についての資料の読み取り問題。問5は架空の民事裁判を例に、原告の予想利得額と被告の予想損失額を計算し考察する問題。誘導の通りに計算していけば正答は導けるが、少し時間を要する。問6は会話文の穴埋め問題。アの過失責任は易しいが、イで明確に公害健康被害補償法を選ぶのは難しい。

第4問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 開発途上国の経済 やや難

高校生と叔父さんの架空のA国についての会話文を題材に、経済分野を中心に出題された。問2、3、4は、いずれも平易な4択知識問題だが、受験生にとってやや盲点となる分野(国際協力、資源・エネルギー問題、国際機関名)からの出題。問5は京都議定書・パリ協定の特徴についての穴埋め問題。アとイは読解で正答を導き出せるが、ウの判断には知識が必要。問6は架空のA国のインフレの発生と収束までの経緯についての会話文の穴埋め問題。問7はインフレが通貨価値にもたらす影響について考察する問題。

第5問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 課題探究学習「地域づくり」 標準

高校生の課題探究学習「地域づくり」について、適当な事例を選ぶ問題や資料の読み取り問題が出題された。問1は自治体の政策決定までの過程に対する異議の表明が含まれる住民運動の事例を選ぶ問題。「政策決定までの過程に対する異議」がポイントになる。問2は資料の読み取り問題。資料は2つ示されているが、どこを見ればよいかは選択肢中に書かれてある。問3、4は、それぞれ示された条件を満たしている事例を選ぶ問題。落ち着いて選択肢を読めばそれほど難しくはない。

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