入試対策・学習アドバイス
地理歴史,公民
地理総合,地理探究
系統地理、地誌の基礎知識を身につけましょう
2025年度の大学入学共通テストでは、全体として取り組みやすい問題が多いものの、一部に判断に迷う問題がみられました。高得点を取るには確実な知識をもとに平易な問題を素早く解き、難しい問題に時間をかけて取り組んで、解答を導き出す必要があります。そのためにはまず教科書、資料集などをしっかり読み、問題集を解くことで系統地理、地誌の基礎知識を身につけましょう。このとき、知識同士の因果関係や対比などに注意して情報を整理し、ノートなどにまとめるとよいでしょう。地名や統計データに関しては地図帳や統計集を確認することを忘れないようにしましょう。そして、過去問などを解くことで多様な問題に触れ、模試なども活用して初見の図表や資料を読み解く練習を積みましょう。
歴史総合,日本史探究
歴史総合の理解を深めよう
今年の共通テストで新たに出題された歴史総合は、100点中25点と、全体の4分の1を占めます。したがって、試験で高得点を取るためには、歴史総合の対策が不可欠となります。歴史総合は日本史探究で扱う内容と共通するものも含みますが、今年の問題ではそれ以外の、世界史的な知識を問うものが多く出題されたことを踏まえると、やはり歴史総合そのものを徹底的に学習し、理解を深める必要があります。その対策としては日本史探究と同様で、自分の使っている教科書の精読を通して知識を整理し、今年の試験問題や模試、問題集などで理解度を確認するというものが基本となります。知識整理の際は、その習得(暗記)に終始するのではなく、歴史用語の周辺情報(「事件」であれば、発生の時期・背景・結果・影響といったもの)も合わせて理解しておきましょう。また、教科書ではジェンダーや移民など、現代でも国際的に問題となっているような事柄をトピックとして扱っています。そうした事柄に関心を持つようにしておけば、実際に試験問題のテーマとして扱われても焦ることなく対応できるでしょう。
資料問題の対策を進めよう
共通テストにおいて、昨年までの「日本史A・B」から「歴史総合、日本史探究」に切り替わっても、文字史料や視覚資料といった資料を用いた読み取り問題が多数出題される傾向は変わりません。こうした問題は解答に時間がかかるので、試験本番までに慣れておかないと、制限時間内に全ての問題に自信を持って解答することが困難になってしまいます。したがって、まずは教科書に載っている資料の読み取りから始め、一通り終わったら今年の試験問題や昨年までの試験問題(日本史A・B)、模試などを用いて資料問題の対策を進めましょう。そうすれば、教科書などに載っていないような資料が試験問題で出題されても、焦ることなく対応できるでしょう。
歴史総合,世界史探究
年代や内容の理解に重点を置いて学習を積んでおこう
問われている知識の内容が、用語それ自体よりも、年代や内容の理解に重点が置かれています。年代や内容に注意して暗記に努めるとよいでしょう。
頻出の史資料には必ず触れておこう
共通テストでは、多くの史資料(史料・図版・統計データ)が出題され、しっかりとした読解力が要求されます。出題される史資料は、教科書や資料集に掲載のあるものは少なく、ほとんどの受験生にとって初見となる史資料が多いです。とはいえ、史資料問題である以上は読解の方法は同じであるので、まずは頻出の史資料をチェックして読む練習をしておくと、初見の資料が出題されても慌てずに解答できるようになります。資料集に掲載されている頻出のグラフや史料文、図版や写真をよく参照しておくとよいです。
油断せず、歴史総合の勉強もしておこう
2025年度の共通テスト「歴史総合,世界史探究」の第1問では、あまり日本史の内容が出題されませんでした。一方、「歴史総合,日本史探究」の第1問では、ふんだんに世界史の内容が出題されていました。これを踏まえると、今後の共通テストにおいて、「歴史総合,世界史探究」でも日本史の内容を多く含んだ出題がされる可能性があります。今後も日本史の内容は出ないという予想は危険です。油断せず、歴史総合に含まれる日本史の内容も学習しておくとよいです。特に世界史にかかわりが深い部分の日本史は、世界史探究の学習にもつながりますので重点的に学習しておくとよいでしょう。
公共,倫理
心理学・読解・公共分野などをめぐる新傾向を把握して、それぞれへの着実な対策を立てていこう
今年から始まった新課程では、認知心理学分野が大問として独立し、配点も16点分ありました。心理学実験を題材にした思考力問題をその場で解かせる出題が予想されますので、模試や問題集を活用して備えましょう。心理学の新知識については全問正解を目指して学習してください。ただし、覚えることがさほど多くない分野だけに、間違いを誘導する作りの設問も見られます。注意深く解く訓練をしましょう。また、従来型の倫理分野での知識に関しては、頻出であった事項や人物の出題方針にも変化が見られました。例えば実存主義者やカント、デリダをはじめとする哲学色の強い人物について、一人の思想を深く掘り下げるような出題よりも、まとめて何人かを取り上げて、それぞれ正誤判定をさせる趣旨の出題がほとんどでした。そのぶん歴史的な視点や、ほとんど習わないような細かい知識も、一つの選択肢に盛り込まれていました。各人物ごとの情報量が多くなることを意識して学習しましょう。これに加え、データの読み取り、レポート、日記、原典資料など膨大な量の読解に対応するには、覚えた知識を実際に使ってみる練習も不可欠です。教科書を読むだけでなく、センター試験時代を含む過去問、過去模試をたくさん解いていきましょう。やみくもに解いてたまたま合っていたということでは意味がありません。正解の根拠を説明できるよう、間違いこそ大切にし、知識を確実なものにしていきましょう。その中で徐々にスピードと精度を上げ、読解時間を確保しましょう。現代社会をめぐる諸問題については、日常生活の中で社会常識などの知識を積極的に取り込むようにしておきましょう。資料集は最新のものを使ってください。なお共通テスト初期に見られた図版は消滅傾向にあり、読解は旧課程と比べ難度が上がっていたので、今後もその可能性に留意してください。最後に、公共分野についても決して学習をおろそかにせず、毎回の模試では実施後に50点分の「公共」問題も必ず全て解いておきましょう。
公共,政治・経済
先に基礎知識の習得を進め、次の過去問題演習などで考察型問題に対応しよう
今年の共通テスト「公共、政治・経済」は新課程科目の初年度だったわけですが、新設された公共分野2問題の計8小問のうち半数は公共分野の知識なしで解ける資料読解問題でした。このような考察型問題への効果的な対策としては、共通テスト旧課程科目の過去の考察型問題にじっくり取り組み、各設問のどの部分で正解を見出せたかという経験を積み、要領よく解答する技能を身につける必要があります。ただ、過去問題と同一の資料が出題されるというわけではないので、どこまで問題演習を重ねればよいかという目途が分かりません。よって、このような考察型問題の演習は後回しにして、まずは公共・政治・経済各分野の基礎知識の習得を進めておきましょう。これにより、基本的な知識問題への対応力をつけるだけでなく、共通テストでよく見られる、資料読解に基礎知識を要するという応用的な知識問題に対応できるようになります。一方で、教科書では大枠を学習する程度であろう帰納法・演繹法について受験生の応用力を試す設問(2025年度本試験第2問の問3)のように、新課程科目では学習の深さを測る設問で得点差が開くと考えられます。また、それらは解くのに時間のかかる設問でもあります。そのような設問への対応力を養うにも問題演習が効果的ですが、2022年試作問題を含めても新課程科目の過去問はあくまで少数です。そこで、「公共」「政治・経済」の教科書で大枠を理解したらすぐに資料集を、やや時間をかけて考えながら読んでいきましょう。そのような記事は一般に話題を整理して示し、さらに問題提起が含まれていることが多いので、分析的な思考や思考の深化の模範を示してくれるでしょう。その上で、「公共、政治・経済」の模試受験や過去問演習などの機会を設けて、全問題を50分程度で一通り解くといった予行演習を重ねておきましょう。そのたびに基礎知識の不足を痛感するかもしれませんが、それを学習のモチベーションにすればよいのです。また、頻出する空欄補充組合せ問題は選択肢が強力なヒントになるので、難しく考えず得点源にしましょう。
地理総合(地理総合/歴史総合/公共)
図表や資料を読み解く練習を積みましょう
2025年度の大学入学共通テストでは、多くの初見の図表や資料の問題が出題されました。その中で高得点を取るには平易な問題を素早く解き、難しい問題に時間をかけて解答を導き出す練習が必要です。そのためにはまず教科書や参考書などをくまなく読み、学習分野ごとに注意して情報を整理し、まとまった形にしておくととよいでしょう。主要な地名や統計データ、世界や日本各地の生活文化に関しては地図帳や統計や写真などの資料集などを確認することを忘れないようにしましょう。そして、過去問を中心に多くの問題に触れ、模試なども活用して初見の図表や資料を読み解く練習を積みましょう。
歴史総合(地理総合/歴史総合/公共)
基礎的な知識を満遍なく身につけ、問題演習で確認しよう
本年度の問題は、世界の近現代史についての知識と、史資料の読み取りに基づく思考力を求める問題で構成されていました。対策としては、教科書や年表を用いて重要な出来事の流れをしっかりと理解し、模試や問題集などを利用して共通テスト特有の形式に慣れておくことが重要でしょう。歴史総合は教科書によって記載されている情報量に差があり、本番の出題実績もまだ少ないため、必要な知識レベルが曖昧な部分もありますが、自分の使っている教科書の太字の事項や問題演習で問われた事項はおさえておきたいところです。ただ、やみくもに覚える用語を増やすよりも、まずは「いつ頃」「どの国(地域)で」「どんなことがあった」を大まかに頭に入れるという意識で学習していくとよいでしょう。試験の際に未知の用語などが出てきたとしても、学習した事項から選択肢を絞り込める場合も多いはずです。全範囲を満遍なく学習しておきましょう。
公共(地理総合/歴史総合/公共)
全分野を満遍なく学習し、弱点分野は早期に克服しよう
「公共」は、政経分野を中心に、倫理分野など多様な分野から出題されています。比重の大きい政経分野において不得意項目や未学習項目を残すと、それがそのまま低得点につながってしまうことになります。それゆえ、早期に全分野を網羅することで、科目としての全体像をつかんでおくことが一つのポイントです。知識を万全にするためには、「現代社会」を含めた過去問研究による知識拡大が必要不可欠です。徹底した過去問演習を通して未知の事項をノートなどに整理し、用語集や資料集を活用して、自分で調べながら習得していくといった学習を継続して行いましょう。思考力・判断力に加え、読解力が必要な問題への対策としては、過去問に加えて最新の模擬試験や問題演習に取り組むことが重要になります。各種の模試や演習に積極的に参加して、そのような問題に触れる機会を増やしましょう。
国語
国語
第1問(現代文)
共通テスト第1問の評論では、主に漢字の知識力や文章の内容を正確に読み取る力が求められています。まずは文章の文脈・展開を正確に読み取り、本文全体の構造を把握する力を養いましょう。共通テスト、センター試験の過去問を解くことはもちろん、単に答え合わせをするだけでなく、解いた問題を使って本文要約の練習をすることも効果的です。本文をいくつかの意味段落(内容のまとまり)に分け、それぞれのまとまりを簡潔に要約したり、見出しを付けたりしてみましょう。次に、接続語や指示語を使ってそれぞれの意味段落の要約文をつなぎ合わせ、200~300字程度の本文要約を完成させてみましょう。こうした練習を繰り返し、本文をミクロに見る視点とマクロに見る視点を身につければ、今後設問の形式が多少変わったとしても、それに惑わされずに冷静に対処することができるようになります。漢字問題に関しては、読み書きはもちろん、漢字の意味までおさえておくようにしましょう。
第2問(現代文)
共通テスト第2問の小説は、時間の経過や場所の移動などを切り目として、いくつかの「場面」に分けることができ、設問では主に各場面における登場人物の心情やその変化について問われます。そのため、教科書や共通テスト、センター試験の過去問などで取り上げられている小説を用いて、場面ごとに人物の心情の変化とその変化をもたらしたきっかけを時系列に沿って丁寧にまとめてみましょう。こうした練習を通して作品を客観的に読む力が身につけば、長い選択肢の正誤も見分けやすくなり、時間短縮にもつながります。表現技法については国語便覧などを活用して主なものを一通り学んでおきましょう。
第3問(現代文)
2025年度共通テストから言語活動の場面を主な題材とする現代文の大問が1題追加されました。2025年度本試験の問題は、以前公表された試作問題と同様に、文章や図、グラフ、生徒作成のレポートなどの多様なテクストを横断的に読み取って解答する形式の出題でした。新傾向の形式ではありますが、落ち着いて解けばそれほど難しくありません。日頃から図やグラフ、その他の実用的なテクスト(法令の文章や議事録、新聞記事など)に触れて読み慣れておくことが大切です。そのうえで、模試等を通じて定期的に演習を行い、共通テスト特有の問題への解法を習得しましょう。
第4問(古文)
共通テスト第4問の古文は、複数の文章や資料を比較・関連付ける設問が含まれることが特徴です。ただし、このような形式に惑わされず、提示された本文を正確に読解する力が第一に求められます。まずは古語や文法の知識を習得し、基本的な読解力を身につけましょう。特に敬語の知識は、人物関係の把握にも役立つので万全にしておきましょう。複数の文章等を比較・関連付ける問題は、多様な形式で出題されてきたので、過去問を複数年分解き、形式に慣れておくとよいでしょう。設問の中で、生徒の話し合いの様子や、現代語で書かれた解説文が提示されることがありますが、これらは本文の理解を助ける内容になっていることもあります。古文の本文自体が難しくても、提示された手がかりをたよりに解答を導けるよう練習しておきましょう。また、和歌に関する問題が頻出していますので、和歌修辞や古文特有の文化的背景も学習しておきましょう。
第5問(漢文)
共通テスト第5問の漢文は、重要語の読みや意味、書き下し文、現代語訳、内容理解といった漢文読解に必要となる学力が問われます。まずは訓読の規則、重要語の読みや意味、句法の解釈といった読解の基礎となる知識を身につけましょう。しかし知識を身につけるだけでは、漢文を読みこなすことはできません。漢文には言葉の省略や修辞表現が多く、漢文独特の表現に慣れていなければ、話の流れを十分につかむことができないからです。そこで必要となるのが、多くの漢文に触れる機会をもち、漢文訓読のリズムや語感を身につけるという地道な学習です。これは短い時間では達成できないものですので、意識して学ぶようにしましょう。共通テストの定番ともいえる複数テキストの対策としては、短い時間で本文の要点をつかむ力が必要になります。150字程度の漢文を読み、その要点をまとめる訓練を積むとよいでしょう。また、共通テストに変わって以降、漢詩の出題が増えています。押韻や対句、文学史など、詩にまつわる基礎的な知識は忘れず身につけておきましょう。
外国語
英語(リーディング)
素早く大意を把握したり、効率よく情報を読み取る練習をしよう
- 2025年度の英文・リード文・資料・選択肢等を合わせた総語数は約5,600語でした。6,000語超の出題が続いてきた過去数年よりは、少し負担が減ったといえるでしょう。とはいえ分量が多いことに変わりはなく、また今後出題分量が再び増加することも考えられます。共通テストのリーディング対策には、素早く大意をつかんだり、必要な情報を効率よく読み取る力が必要です。苦手とする受験生は、共通テスト、センター試験の過去問などを短い制限時間で解答する練習を積むと良いでしょう。また、読みやすい小説などを使って、英文に慣れるのも効果的でしょう。
- 共通テストのリーディング問題では見出し・表やイラストが多用されており、英文の内容の当たりをつけるのに活用できます。設問→見出し等→該当箇所の英文内容という順に読むことで効率よく必要な情報を把握できます。また後半の設問ではしばしばワークシートやプレゼンテーション資料への穴埋めという設問形式がとられます。ワークシート等は英文の要旨、流れを簡潔にまとめたものなので、これを活用することで本文を読まずとも内容をおおまかに理解できます。共通テストの過去問や予想問題集を利用し、これらのヒントの活用法を身につけましょう。
英語(リスニング)
日頃から英語を聞き、音声での理解に慣れておこう
共通テスト後半の第3問から第6問では、リピートなしの1回読みの問題が出題されます。聞いて頭の中で一旦文にして訳す、という手順を踏んでいては理解が間に合わないので、自然に聞き取り、聞き取った順に理解する必要があります。また分からなかったら読み直すということもできないので、リーディングよりも難度が高い面があります。対策としては何よりも英語を音で理解することに慣れる必要があります。週に一度と言わず、二度、三度、できれば毎日、英語の音声に触れるようにしましょう。意味の切れ目や抑揚に気をつけながら音読したり、シャドーイング(英語の音声を聞きながらそのすぐ後に追いかけるように読み上げる練習)を行うことも効果的です。
理科
物理基礎
基礎の知識・理解を固め、現象や実験を説明できるようにしよう
共通テストの「物理基礎」の問題は全体的には計算量が少なく、平易な設問が多い反面、見慣れない設定の問題や実験的考察力が試される問題などが出題され、幅広く基礎理解を問われる構成になっています。第1問は小問集合、第2問はアトウッドの器械の実験(定滑車を通して糸で吊した2物体の運動)に関する出題、第3問は水熱量計を用いた液体の比熱を測定する実験に関する出題でした。出題内容の難易度は高くないので、まずは教科書の例題や章末問題が自力で解答できることを目標に学習を進めるとよいでしょう。公式を覚えただけでは解けない問題も多く出題されており、問題文と図やグラフから現象をイメージし、数式の物理的な意味を考える習慣をつけることが重要です。今年度は2024年度に続き、実験に関する出題が2題であり、考察力・読解力を要求される出題でした。2024年度は少なめだった、文字式を解答する設問がやや増加し、数値計算により数値を解答する設問や、図やグラフから数値を読み取り数値計算を行う設問も引き続き出題されました。今年度は出題されませんでしたが、会話文形式の出題(2024年度は第2問、2022年度は第3問)に慣れておくことも重要です。ある程度の解答力がついたところで実戦形式の模擬問題や共通テスト「物理基礎」の過去問(追試験も含めて)に挑戦することでさらなる得点が見込めます。
化学基礎
基礎的な理論・知識を身につけた上で、総合問題形式の考察問題の演習を行おう
共通テスト「化学基礎」では、総合問題形式の考察問題と小問集合形式の基本問題が出題されます。総合問題は、一つの題材に関する説明文やグラフを与え、それについていろいろな方向から問うものです。難易度の高い考察問題も出題されますが、それらも解法のもとになるのは高校化学基礎で出てくる基本事項です。したがって、まずは教科書全般にわたって基本的な知識を確実に身につけ、教科書に載っている化学理論を正しく理解することが大切です。知識事項は細かいところまで問われても答えられるように、教科書の隅から隅までチェックしておきましょう。計算問題は、まずは基本的なものの演習を繰り返し、その後、徐々にレベルを上げましょう。グラフやデータを考察する問題や実験に関する問題も出題されますので、基礎が定着した後は、そのような問題まで手を広げましょう。共通テストの化学基礎では、比較的長い問題文から内容を把握し、問題を解く上でのポイントを読み取る力が必要です。模試や共通テスト用の問題集で、長文形式の総合問題に多く触れることにより実戦力を強化しておくことが大切です。
生物基礎
教科書の基本的な知識事項を確実に理解し、問題演習を通して思考力を鍛えよう
第1問は生物基礎を学習する上で根幹となる「生物の特徴」の分野を、第2問は比較的知識事項が多い「ヒトの体の調節」の分野を、第3問は身近な自然環境と関係する「生物の多様性と生態系」の分野をそれぞれ主軸とし、ミクロからマクロまで幅広い視点で出題されています。共通テストでは単純な知識問題だけでなく、知識を総合的に用いて文章を読解したり、データの解析や考察を行ったりする、思考力を試すタイプの問題も多く出題されています。まずは教科書レベルの知識を身につけることが必要ですが、このとき生物用語を表面的に丸暗記するのではなく、その用語の周辺事項を含めて科学的な考え方を理解することが大切です。その上で、実戦問題集などを用いた問題演習を通して文章読解力や資料解析力、実験考察力を養い、総合的な思考力を身につけていきましょう。受験生自身が設問の実験や観察に参加して一緒に考えていく形式や、仮説やその検証実験を設定する問題など、日頃の探究活動が問われる内容も出題されるため、日頃から私たちヒトに関する話題など、身近な生物現象に対する意識を高め、疑問をもち、理解を深めておきましょう。教科書で参考や発展として扱われている内容にも目を通しておくとよいでしょう。
地学基礎
基本となる知識を正確に身につけ、図表にも見慣れておきましょう
基本的な知識を確実に身につけたうえで、問題文や図版などから必要な情報を読み取り分析する力、科学的事実を検証する手順を考察する力などが求められています。科学的思考力を問う問題も、基本的な知識の正確な理解がベースとなります。教科書などで地学現象に対する理解を深めておきましょう。即座に解答できる問題がある一方で、資料の読み込みや分析、考察、計算などに時間を要する問題もあるため、演習を通して効率的な時間の使い方に慣れておきましょう。資料として図表や数値データ、グラフなどを与えられる問題も多いので、さまざまな図表に見慣れておくとともに、地学的事象の時間的・空間的な広がりや、諸量の単位などを把握しておくことも大切です。
物理
全分野を通して基礎の知識・理解を固め、現象や実験を説明できるようにしよう
共通テストの「物理」の問題は基礎から標準的な設問を中心に構成されており、各分野にわたる広い基礎力が要求されます。出題される問題は標準的な問題といっても、図やグラフの読み取りから物理現象を考える設問も多く、公式を式の形のまま覚えているだけといった曖昧な理解では太刀打ちできない問題や、日常に見られる身近な現象をテーマに実験的考察力・思考力を要する問題も出題されています。第1問は小問集合(原子からも1題)、第2問は力学(2024年度に続き)、第3問はAが熱力学、Bが波動(2024年度は波動)、第4問は電磁気(2024年度に続き)からの出題でした。2022年度では初めて必答問題の大問として原子分野の問題が扱われましたが、今年度は2024年度に続き小問集合での出題となりました。全ての分野をしっかりと確認しておきましょう。第2問では実験から得られるデータを用いた考察を重視する問題が出題されました。このような問題に対応するためにも、日頃から教科書の図やグラフとの対応と意味を考えながら立式して問題に解答する習慣をつけておくことが重要です。また、会話文形式の問題(2023年度)や文章量の多い問題(2024年度第2問)も出題されており、問題文の読解力を要求される傾向にあります。長い問題文や図表の中からポイントを押さえて情報を拾い上げ、立式を考えることで時間の短縮が見込めます。共通テスト「物理」特有の実験・知識問題は教科書をベースに出題されるものなので、教科書で紹介される周辺知識も入念にチェックしましょう。基礎・標準的な問題の理解が進んだら、実戦的な問題に取り組みましょう。共通テスト「物理」の実戦形式の模擬問題や共通テストの過去問(追試験も含めて)に挑戦することでさらなる得点が見込めます。より実戦的には、本番に近い形式を体験できる模擬試験を積極的に受験するとよいでしょう。
化学
基礎力を盤石にしたのち、考察力を強化しよう
共通テスト「化学」においては、小問形式の問題と、リード文の内容を把握し、必要な情報を的確に読み取り、得られた情報を関連づけて答を導いていく大問形式の問題があります。対策としては、まずは教科書レベルの基礎力を盤石にしておくことです。基礎が完成した後は、大問形式の設問に対応できるように、常に「理解する」、「考える」という態度を念頭に入れて問題演習を繰り返し、考察力を強化することが大切です。共通テストでは、初見の物質、反応、理論がテーマとして出題される可能性があります。教科書の「発展事項」、「研究」などには、高校の範囲を超えた項目が記載されているものもあり、それらを題材として出題される可能性もありますので、目を通しておくとよいでしょう。また、標準からやや難レベルの国公立大二次試験にチャレンジしてみることも、リード文の内容把握の練習には有効です。さらに共通テスト対応の問題集などをこなし、実戦力を強化しておくことも大切となります。計算問題に関しては、数学のように数値を一桁ずつマークする解答方法がとられる問題が出題される年もあるため、普段から有効数字を意識して計算するようにしましょう。
生物
教科書の基本事項を分野の偏りがないように確実に理解し、多くの実験考察問題に触れよう
身近な自然や事象に含まれる生物学的に重要なテーマについて、多様な視点から解析させていく分野横断的な出題となっています。与えられた文章の読解や初見の資料の解析によって得られた情報を、基本的な知識や理解と結びつけて考察していく問題で構成されており、読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容であることが特徴です。したがって、知識が豊富なだけでは高得点に結びつかず、また、考察力だけで正答できるような設問もほとんど見られません。対策として、まず、教科書の基本事項を確実にしながら、周辺事項と有機的に結びついた理解が最重要となります。苦手分野があると複数の大問で失点しかねないため、偏りのない学習が必要です。教科書で参考や発展として扱われている内容にも目を通しておくとよいでしょう。その上で、様々な実験考察問題を通して、どのような問題でも対処できるような考察力を養いましょう。見慣れない設定の実験が扱われることも多いので、 グラフや図表について重点的な学習を行うとともに、計算問題についても、定石的な問題演習を通して慣れておきましょう。直前期には共通テストに特徴的な設問形式に慣れておくこと、また、本番では時間との勝負になるため制限時間内に解答する練習をすることが特に重要です。実戦問題集などを利用して数多くの演習に取り組みましょう。
地学
苦手分野を減らし、出題形式や数式の扱いにも慣れておきましょう
知識に加え考察・読図・計算を含む多彩な問題が出題されており、さまざまな形式に慣れておく必要があります。問われる内容の多くは基本的ですが、学習が手薄になりがちな分野の知識を問う問題もあるので、苦手分野を極力減らし、教科書などで知識の穴を埋めることが大切です。分野横断的な問題や、探究活動のレポート形式の問題にも慣れておきたいです。教科書に載っている主な実験については、実験手順や、仮説を検証する思考プロセスなどを確認しておきましょう。文章量が多い問題では、必要な情報を短い時間で効率よく読み取る訓練が重要です。また、さまざまな図表に見慣れておくとともに、地学的事象の時間的・空間的な広がりや、諸量の単位などを把握しておくことも大切です。
数学(1)
数学I,数学A
目新しい題材があり 高度な情報処理能力が要求されます
- 出題意図をくみ取りながら、問題設定の分析力・状況把握能力・情報処理能力が求められます。
- 高得点をとるためには、短い時間の中、早く正確に情報処理をしなくてはなりません。
- 日頃の学習においては,数式の意味することを読み取る訓練が重要となります。
- センター試験や共通テストの過去問演習を通じ、マーク形式特有の出題に慣れることも対策になります。
- 過去問を利用する際は、試験時間を意識し、時間配分を考えながら行うことが効果的です。
- 平面図形、データの分析に関する問題は共通テスト以外での出題率は高くはありません。そのため、これらの分野はセンター試験・共通テストの過去問演習が中心になります。
- なるべく多くの国公立大2次試験・私大の過去問に触れ、思考力を養う経験が大切です。そのためには、共通テスト実施前に、国公立大2次試験対策・私大対策が仕上がっているだけの学力が必要となりますので、現役生は早い時期からの受験対策が有利になってきます。
数学(2)
数学Ⅱ,数学B,数学C
冷静に状況を分析できるだけの理解度が要求されます
- 高得点をとるためには、どの分野も満遍なく学習し、深い理解が必要となります。
- 数学用語の定義や数式の意味そのものを問われることも考えられますので、定義や公式をしっかりと理解しておきましょう。
- センター試験や共通テストの過去問を演習し、マーク形式の問題を解く訓練を積むことが有効です。その際、時間配分を考えた戦略をしっかりと立てましょう。
- 2次曲線・複素数平面に関しては、過去問がありません。対策としては、国公立2次試験・私大の過去問を集中的に解くことになります。その際、各曲線の性質などを押さえておくと、よいでしょう。
情報
情報Ⅰ
まずは教科書の内容をしっかり理解するところから
情報Ⅰの試験は60分で解くには少し分量が多いですが、いずれの問題も教科書に書かれている内容を理解できていれば正解を導けるものとなっています。まずは教科書で基礎的な知識を身に付け、「時間をかければ確実に解ける」という土台を作りましょう。
プログラミングは、変数の移り変わりを丁寧に追おう
プログラミングでは、プログラム中の変数が何を意味し、どのように振る舞うかを捉えることが重要になります。プログラミング問題が苦手な人は、まずは5~10行程度のプログラムについて、プログラムの流れや、登場する変数の変化を1行1行丁寧に書き出す練習から始めてみましょう。
「的中」は身の回りにある!
身近にある情報技術や情報社会に関するニュースに関心を持つことも、効果的な試験対策になります。例えば、レシートに様々な情報が印字されていたり、お札が不足しないように予めお札を準備しておくという状況は、皆さんも日常的に目にするシチュエーションだと思います。情報技術や情報社会のニュースに漫然と接するだけではなく、「当事者」となって自ら調べてみたりすることをぜひ心がけて下さい。
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