地学基礎
総評と分析
図表を読み取る問題が減少し、選択肢を選びやすい問題が増加した。
大気・海洋分野が1題増加した一方、宇宙分野が1題減少してともに3題ずつに戻った。図表を与える問題の数が昨年の7題から5題に減少し、選択肢を選びやすい問題が増加した。
問題分析
大問数 | 昨年と変わらず4 |
---|---|
設問数 | 昨年と変わらず15 |
解答数 | 昨年と変わらず15 |
問題量
- 下書き用紙を除いた問題のページ数は14ページで、図表が少なくなった分昨年よりも減少している。1題あたりの文章量は昨年と大きく変わらない。
出題分野・出題内容
- 第1問は地球分野、第2問は大気・海洋分野、第3問は宇宙分野、第4問は自然災害をテーマとした総合問題だった。
- 第2問の大気・海洋分野が1題増加し、第3問の宇宙分野が1題減少した。
- 問題文の読み取りからの考察で正答できる問題、誤りの選択肢がわかりやすい問題が多かった。
出題形式
- 昨年と同様に6択形式の問題が1題で、それ以外は4択問題だった。
- 複数の知識を組み合わせて解答する問題が多かったが、選択肢は選びやすかった。
- やや細かい知識を問う問題も見られた。
- 数値を扱う問題は2題だった。
難易度(全体)
- 昨年並みと思われる。やや細かい知識を問う問題もあったが、問題文の読み取りからの考察で正答できる問題や、誤りの選択肢がわかりやすい問題が多く、落ち着いて考えれば高い正答率になったと思われる。
第1問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 7 | 地球表面の構造、緊急地震速報 | やや易 |
B | 7 | 火成岩と鉱物、火成岩体の形態 | やや易 |
C | 6 | 生物進化と地球環境の変化 | 標準 |
Aの問1はプレートの名称と性質に関する基本的な知識問題であり、問2は緊急地震速報に関する計算問題だった。Bの問3は各火成岩の特徴や鉱物とガラスの違いを、問4は火成岩体の形態上の分類を問う知識問題だった。Cの問5は地球の大気組成に影響を及ぼした光合成生物や植物の進化を、問6は原生代初期の地球上のできごとを問う知識問題だった。全体として、正答以外の選択肢が判別しやすい問題が多く、得点率は高かったと思われる。
第2問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 6 | 台風と地上天気図 | やや易 |
B | 4 | 海洋の熱収支と海面水温 | 標準 |
Aの問1は日本に接近する台風の天気図を時系列に並べる問題で、台風の中心気圧と日本列島からの距離を考慮すればよいが、台風の一般的な進路を知っているだけでも正答できる。問2は台風に関連した災害をもたらす気象現象についての誤文選択問題で、台風のまわりの反時計回りの風は、台風の進行方向の右側で強く吹きやすいという知識さえあれば正答できる。Bの問3は海洋の熱収支に関する問題で、海水の蒸発による潜熱と夜間の放射冷却についての理解が問われている。
第3問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 7 | 太陽系の誕生と太陽の進化 | 標準 |
B | 3 | 宇宙の構造 | やや難 |
Aの問1は原始太陽系星雲の形状と微惑星の衝突・合体についての知識問題で、特に前者は教科書の改訂で用語が原始太陽系「円盤」に変わる前の今年ならではの出題といえる。問2は太陽の進化段階のうち、水素核融合が起こっているものを全て答える問題で、水素殻燃焼が起こっている赤色巨星も該当することに注意する。Bの問3は天球上の分布図から天体の種類を答える問題で、図の天体の分布は天体が天の川に集中しておらず、泡のような空白地帯の周囲にフィラメント状に集まっていることから、銀河がつくる宇宙の大規模構造を示したものである。
第4問 (10点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
10 | 活火山と爆発的噴火、火山灰層の柱状図、海流の流れと速度 | 標準 |
問1は活火山の定義と爆発的な噴火を起こしやすいマグマと引き起こされる火山災害についての問題で、活火山の定義がやや細かい知識だが、過去1000年以内では短すぎると判断できる。問2は湖底に堆積した火山灰層についての問題で、斜長石はほとんどの火山噴出物に含まれており同一の火山起源である根拠にはならず、文aは誤りと判断できる。問3は海底火山から噴出した軽石を運ぶ対馬海流と黒潮の速度比の計算問題で、対馬海流の約2倍の期間で約4倍の距離を流れた黒潮の平均的な速さは、対馬海流の約2倍である。
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