化学基礎

総評と分析

昨年に比べ第2問は考察力をあまり必要としなかった。第1問はグラフを利用する考察的な出題はあるが、他は基本的な内容であった。


第1問はグラフを利用した読解力を求める出題も見られたが、大半は基本的な知識と計算の確認であった。第2問は大問形式ではあるが、実質的には酸化還元、電池、電気分解の知識と量的関係の計算を中心とした小問集合で基本的な内容であった。

問題分析

大問数 2で昨年から変更はない。
設問数 昨年に比べ、1減の13。
解答数 昨年に比べ、2減の18。

問題量

  • 計算問題の数、文章量とも昨年と同程度であった。全体的に見ると問題量はほぼ昨年並みであった。

出題分野・出題内容

  • 第1問は、単体、典型元素、物質の三態、電池、ケイ素、気体の性質、化学反応式の計算、酸・塩基、酸化数、混合気体のグラフ考察の小問が出題され、第2問は、宇宙ステーションの空気制御システムを題材とした総合問題が出題された。
  • 第1問は、教科書レベルの基本問題が中心。問10の混合気体の物質量の割合とモル質量のグラフを考察する問題は難しい。
  • 第2問は、総合問題の形をとっているが、実質的には基本的な問題の小問集合である。

出題形式

  • 第1問の問3では、当てはまるものの組合せを答えさせる問題が出題された。第1問の問10はグラフの読み取りを要する問題であった。正しいグラフを選択させる問題が第2問の問3bで出題されたが、問題の数値自体を答えさせる問題は出題されなかった。

難易度(全体)

  • 第1問は例年どおり小問集合形式で、問10のグラフを考察する問題は難しいが、他はほとんどが基本的。第2問は宇宙ステーションの空気制御システムを題材とした総合問題であるが、実質的には基本的な問題の小問集合であり、化学反応式の計算が何問も出題された。全体としての難易度は、昨年並。

第1問 (30点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 2 単体の状態
問2 3 典型元素の性質
問3 3 物質の状態変化 やや易
問4 3 いろいろな電池 やや易
問5 3 ケイ素とその化合物 標準
問6 3 気体の性質 やや易
問7 3 化学反応式の量的関係 標準
問8 3 酸・塩基とpH 標準
問9 3 酸化数 やや易
問10 4 混合気体の割合とモル質量

問1は単体の状態に関する問題で平易。問2は典型元素の知識を問うもので、貴ガスの電子配置がわかっていれば解ける。問3はすべての記述が正しいので戸惑った人もいたかも知れない。問4はいろいろな電池の知識を問う問題で、正しい記述が明らかなので平易。問5はケイ素に関する問題で、知識がないとやや難しいか。問6は基本的な気体の性質に関する問題で平易。問7は基礎的な反応式の計算問題。問8は中和滴定が酸・塩基の強弱に関係ないことを知っていれば解ける。問9は酸化数算出の基本問題。問10はグラフを考察する問題で難しい。

第2問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 3 水の電気分解 標準
問2 9 酸化還元反応、化学反応式、分子の極性 標準
問3 8 化学反応式の計算、グラフの選択 標準

宇宙ステーションの空気制御システムを題材とした総合問題。問1は水の電気分解の問題で基本的。問2aは酸化還元反応に関する問題で、酸化数変化と酸化・還元の関係がつかめていれば平易。問2bは反応式から生成量を求める問題で平易。問2cは分子の極性に関するもので、分子の極性のしくみがわかっていれば解ける。問3aは化学反応式の計算の問題で、確実な計算が必要。問3bは反応物と生成物の物質量の関係のグラフを選ぶ問題で、過不足なく反応するときの生成量がポイント。問3cは2つの反応式を考える必要があるので、確実な計算が必要。

平均点(過去5年分)

年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度
平均点 29.42点 27.73点 24.65点 28.2点 31.22点
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