生物基礎
総評と分析
基本的な知識と理解を活用する問題を中心に、全分野から幅広く出題された。
例年通り、すべての大問がA・Bの中問に分かれることで幅広く出題された。資料解析問題もみられたが、基本的な知識の活用や思考力を試す問題が中心であった。図表が増加したが文章量が減少したため取り組みやすかった。
問題分析
大問数 | 昨年同様3であった。 |
---|---|
設問数 | 昨年より1増加し16であった。 |
解答数 | 昨年より2減少し16であった。 |
問題量
- 図表の数が昨年から2個増加し余白が大幅に増加したこともあり、実質の問題ページ数が昨年より4ページ増加したものの、文章量の多い会話文形式の問題がなく、解答数は昨年より2個減少したため、分量としての負担は変わらなかった。
出題分野・出題内容
- 例年同様、第1問は「生物と遺伝子」、第2問は「生物の体内環境の維持」、第3問は「生物多様性と生態系」から出題され、分野横断的な出題はみられなかった。
- 近年は中問単位で免疫を題材とした問題が頻出だったが、今回は小問1問のみであった。
- 全体的に基本的な知識を基に思考力を試す問題が中心であった。資料解析問題はみられたものの、相応の読解力を必要とする考察問題はみられなかった。
出題形式
- すべての大問がA・Bの中問に分かれていた。
- 会話文形式の問題はみられなかった。
難易度(全体)
- 易化。図表やページ数は増加したが、難解な読解はみられず、考察問題も取り組みやすいものが多かった。
第1問 (17点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 11 | 生物と遺伝子 | やや易 |
B | 6 | 細胞周期 | 標準 |
A:問1は細胞についての知識問題。問2は遺伝子などの特徴について、分野全体からの知識問題。問3はエイブリーの実験をなぞる考察問題で、設問文は長いが、DNAが遺伝物質であることを理解していれば基礎知識で解答できる。B:問4は細胞周期のグラフを読み解く問題。細胞周期の一時停止やDNAの修復は発展事項だが、これらにとらわれずにDNA量に注目できれば難しくない。問5は細胞周期を阻害する実験問題。図から阻害された時期を読み取る必要があったが、染色体の形状から分裂中期が阻害されていることは読み取りやすい。
第2問 (18点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 9 | 血液・血管 | やや易 |
B | 9 | 腎臓 | 標準 |
A:血液と血管に関する知識問題。問1は血液の成分に関する問題。問2は傷口の修復の過程を答える並べ替え問題。問3は傷口で起こる生体防御に関する問題。B:理科室の人体模型を題材とした、腎臓に関する問題。問4は血管の種類と腎臓の位置を答える知識問題。問5は腎臓から排出される物質を答える知識問題。問6は腎臓に墨汁を注入した際に黒く染まる部位を推測する実験問題。腎臓でろ過される物質の種類、ろ過が起こる部位、腎臓の構造について正しく理解していれば解答できる。
第3問 (15点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
A | 9 | 日本の生態系と管理 | 標準 |
B | 6 | 外来生物 | やや易 |
A:問1は日本のバイオームに関する基本的な知識問題。日本は全体として降水量が多いので、バイオームを分ける要素にはなりにくい。問2は湖沼の生態系に関する知識問題。問3は図を読解する考察問題。明らかな正答があるので解答はしやすいが、誤りの選択肢を確定するためには2つのグラフの間で割合を計算する必要がある。B:問4・問5は外来生物に関する選択肢の読解問題だが、どちらも常識的に考えれば解答できる。
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