歴史総合(地理総合/歴史総合/公共)

総評と分析

2022試作問題と同様、基礎的な知識を前提に史資料の読み取りなどを絡めた問題で構成され、歴史総合の確かな理解が求められる。


「歴史総合、日本史探究」および「歴史総合、世界史探究」とも共通の大問2題で構成された。リード文に関連する歴史事項について、その年代や地理に関する理解が求められるとともに、提示された史料や図表をもとに知識にもとづく思考力や判断力を問う問題も見られた。

問題分析

大問数 2
設問数 16
解答数 16

問題量

  • 分量的には試作問題から2問減少した。ただし、リード文や史資料の読み込みを要する設問が多いため、解答にはある程度時間を要する。

出題分野・出題内容

  • 歴史総合で学習する近現代の範囲から出題され、主に19~20世紀についての出題が中心であった。また、現代史(戦後)に関する問題は5問出題された。
  • 出題内容は科目の特性上、政治史・外交史が中心であった。
  • 疫病の流行やジェンダーといった時事的に関心の高まる事項に関する出題も見られた。

出題形式

  • 年代並び替えは2問出題された。
  • 試作問題で見られた複数正解分岐型(連動式)の問題や、2つの文と3つの選択肢を組み合わせる6択形式の出題は見られなかった。

難易度(全体)

  • 試作問題と同程度の難易度であった。史資料の出題は多いが、読み取り一辺倒ではなく、歴史総合の確かな知識と理解が求められており、受験生の学習成果が試されただろう。

第1問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
A 6 国際関係における「境界」 標準
B 9 疫病の流行と「境界」 標準
C 10 「境界」と人やモノの移動 標準

歴史上における境界を主題とした生徒の探究学習をもとに、18世紀末~20世紀の東アジアやヨーロッパを中心とした出題。問1のa・bは時期と場所に注意した判断が必要になる。bの上海が開港されたのはアヘン戦争後の南京条約による。「18世紀末」の時点で利用されていた港は、aの広州。問3は穀物法を知っていたかどうか。問5はコレラ流行とアメリカ軍艦の来港の関係を考える問題であったが、比較的判断しやすかった。問7の並び替え問題は、ⅠとⅢの時期判断にやや迷うか。戦後史まできちんと学習できていたかで差がついただろう。

第2問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
A 13 政治家・官僚・軍人の装い 標準
B 12 女性の装い 標準

歴史上の人々の装いについて、様々な史資料を用いて出題された。問1~問3は知識問題で、読解はほとんど必要ない。問4はグラフ問題だが、力織機と紡績機の役割の違いや帝国議会開設の時期を知っておく必要があった。問5のモガの髪型は細かい知識で、消去しにくい。選択肢②をピンポイントで正文と判断すべきだろう。問6は資料が短く、必要とされる知識も易しい。問7はパネル2にイスラームの教義やイラン=イスラーム革命の説明があるため、知識なしでも正解を導ける。問8の年代並び替えは時事に近い現代の内容を含み、やや戸惑う。

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