地理総合,地理探究
総評と分析
図表を利用した問題が昨年までの「地理B」同様に多いが、判断に迷う問題は多くなく、正確な知識があれば解答できる。細心の注意をもって問題文を読み解答し、失点を最小限に抑えたい。
地理総合、地理探究の全分野について満遍なく学習することが求められている。図表の分析問題は、正確な知識があれば正解にたどり着きやすいため確実に解答したい。各小問とも学力が直接反映されやすく、練られた良問が多い。
問題分析
大問数 | 6 |
---|---|
設問数 | 30 |
解答数 | 30 |
問題量
- 大問の問題文、小問の図、表、写真、選択肢表などの文字を除いた設問文および選択肢の文字数は約8,700字で、昨年の「地理B」より約1,200字少ない。取り組みやすい問題が多く問題文を迅速に読み、判断することが求められる。
出題分野・出題内容
- 出題分野は、食料問題、地域調査、自然環境と自然災害、エネルギーと産業、都市、世界地誌の6分野である。
- 出題内容は、第1問が「食料の生産や消費」、第2問が「愛知県東部の東三河地域の調査」、第3問が「世界の自然環境と自然災害」、第4問が「エネルギーと産業」、第5問が「産業構造の変化に伴う都市の変容」、第6問が「インド洋とそれをとりまく地域」の6分野で、各大問の設問数は第1問と第2問が4、第3問と第4問が6、第5問と第6問が5である。第1問と第2問は「地理総合」と同一内容である。
出題形式
- 4つの文の4択正誤判定問題は1問、文の下線部の4択正誤判定問題は5問、2項目4択の組合せ問題は6問、2項目6択の組合せ問題は1問、3項目6択の組合せ問題は10問、3項目8択の組合せ問題は1問、図中の4択問題は5問、語句の4択問題は1問であった。
難易度(全体)
- 昨年の地理Bと比較して同程度。図表の読み取りが難しい問題も一部にみられるが、総合すると昨年と同様の難易度である。なお、既卒生の多くが旧地理Bを受験するため、平均点自体は下がる可能性が高い。
第1問 (13点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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13 | 食料の生産や消費 | 標準 |
食料の生産や消費に関する大問である。問1は日本、韓国、サウジアラビアが共通して高位であることから、穀物の輸入依存度である。問2は図2中の4地点の自然環境と農業の特徴の文を選ぶ問題で、気候と農業の関係について正確な知識があれば平易である。問3は日本を含む5か国のコーヒーと茶の1人1日当たり消費量の図で、イギリスは茶の消費量とともにコーヒーの消費量も一定量あることに着目する。問4は「収穫時期が短期に集中し」の部分が適当でない。
第2問 (12点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
12 | 東三河地域の地域調査 | 標準 |
東三河地域の地域調査の大問である。問1は資料1の下線部の正誤を図1の新旧地形図から判定する問題で平易である。下線部cは東新町付近の標高8.8mの水準点と瓦町付近の標高19mの標高点から判断する。問2は資料2を参照する会話文中の下線部の正誤判定で、三河湾臨海地区は臨海部にあることから海外自動車メーカーが立地していると考える。問3は水をあまり必要としないサツマイモから、豊川用水の開通でキャベツに転換したと考える。問4は東三河地域は静岡県とは自動車交通によるつながりが非常に強いことからわかりやすい。
第3問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
20 | 自然環境と自然災害 | やや難 |
自然環境と自然災害に関する大問である。問1は植生の疎密を考えて判断する。問2は起伏から地形を想起できるかが問われた。問3は教科書の知識で解ける平易な問題である。問4は国の人口や経済規模をもとに判断する。問5は問題文を参考に、海陸の割合や海氷に覆われた海の面積割合から考える。問6はGISを用いて、自然災害への備えを考える力が問われた。
第4問 (21点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
21 | エネルギーと産業 | 標準 |
エネルギーと産業に関する大問である。問1は増加率の大きい中国を先に判定したい。問2は原料と製品で、どちらの重量の方が重いかを考える。問3はカ~クの図の特徴を都市機能や人口に着目して読み取る。問4はドイツの国際観光収支が赤字であることにより容易に判定できる。問5はファブレス企業の特徴を学習できていれば難しくない。問6は日本の統計によりKを判定し、貿易の収支の正負でアメリカ合衆国と中国を判定する。
第5問 (17点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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17 | 産業構造の変化に伴う都市の変容 | 標準 |
産業構造の変化に伴う都市の変容に関する大問である。問1は日本の工業が石油危機を契機に基礎素材型工業から加工組立工業に転換したことを想起する。問2は郊外で特に高齢化が進んでいることに注目する。問3はオーストラリアは都市人口率が1970年から高水準であること、韓国は経済成長に伴い都市人口率が上昇したことに注目する。問4はソフトウェア業の成長や新聞業が各地方に立地していることから判断する。問5は図3をよく見れば選択肢3が誤りとわかる。
第6問 (17点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
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17 | インド洋とそれをとりまく地域 | やや易 |
インド洋とそれをとりまく地域に関する大問である。問1はサイクロンは赤道付近では発達しにくいことから判断する。問2はパキスタンには乾燥気候が広がっていることから判断は容易である。問3はインドから中東諸国への移民やシンガポールからインドネシアへ輸出や投資が積極的に行われていることから判断する。問4はインドは人口が約14億人であることからムスリム人口も多くなることや、ミャンマーにおけるロヒンギャ問題から判断する。問5はイギリスがモーリシャス、インドの旧宗主国であることから選択肢2が誤りとわかる。
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