物理基礎

総評と分析

昨年度共通テストと比較して、波動の問題が減少し、熱の問題が増加。また、会話文形式による問題は出題されなかった。


第3問が、昨年の波動から今年は熱、電気になった。また、昨年出題された会話文を交えた問題、数値を直接マークする問題は出題されなかった。例年通り基本問題を中心とした出題である。目新しい設定の問題、組合せを答える問題、数値計算は減少したが、数値計算や文字で答える問題の選択肢の数は増加した。

問題分析

大問数 3
設問数 14
解答数 15

問題量

  • 問題記載ページは昨年の17から12に減少。 
  • 大問数は3で昨年と変更なし。
  • 設問数は昨年の15から14に減少。
  • 解答数は昨年の17から15に減少。
  • 数値計算の問題は昨年の9から3に減少。 
  • グラフ選択の問題は1で昨年と変更なし。 

出題分野・出題内容

  • 第1問は、原子1題、力学1題、波動2題の小問集合。 
  • 第2問は、力学より糸でつながれた2物体の運動、重力加速度の測定。 
  • 第3問は、熱、電気より比熱(比熱容量)の測定。 

出題形式

  • 第1問は小問集合形式。 
  • 第2問はA、Bに分けての出題ではなく一つながりの問題。
  • 第3問はA、Bに分けての出題ではなく一つながりの問題。 

難易度(全体)

  • 難易度は昨年よりやや難化。昨年に比べ文字式による計算がやや増えた。昨年に続き第2問・第3問では実験とその考察を重視する出題となり、引き続き思考力・文章読解力・注意力を要する設問が多い。定性的に考察をさせる設問よりも数値や式で結果を問う設問が多く見られた。

第1問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 4 放射線とその利用 標準
問2 4 重力下の運動における最高到達点の比較 標準
問3 4 うなり やや易
問4 4 疎密波 やや難

各分野からの小問集合であるが、熱・電磁気からの出題がなくなり、原子1題、力学1題、波動2題の出題であった。問1は放射線とその利用に関する正誤問題。原子分野の学習が不十分でも確実に押さえておきたいテーマである。見慣れない中性子線についても問われた。問2は重力下の運動。鉛直投げ上げ運動、斜方投射、斜面上の運動における最高点到達点の高さを比較する。斜方投射の場合は、最高到達点で速さが0でないため、運動エネルギーが0とならない点に注意したい。問3はうなりに関する基本的な設問である。確実に得点したい。問4はコイルばねを振動させてできる疎密波に関する設問である。図の疎密の情報から波の変位のグラフをイメージして解答する必要がある。

第2問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 アトウッドの器械を用いた物体の運動 標準

昨年同様、A、B分割での出題とならなかった。糸で結んだ2物体を、定滑車を介して鉛直方向に運動させるアトウッドの器械を用いた実験が取り上げられた。加速度の大きさは式で与えられており、運動方程式を立式して加速度を導くという作業が必要のない設定であった。問1は2物体が同質量の場合で、問題に等速直線運動することが明示されている。力のつり合いに着目して確実に得点したい。問2は2物体の質量が異なる場合。運動時間が未知であることに注意しよう。問3からは設定が変更され、一方は質量MのおもりA、もう一方は糸を通せる穴の空いた質量mのおもりCを載せた質量MのおもりBを取り付ける。床上に設置されたパイプにおもりCが達する前後で加速度が変化することに注意が必要である。問3のパイプ内部を落下する間、糸につながれているのは同質量のおもりAとおもりBであるから、おもりBは等速直線運動となる。問4は加速区間の高さhと速さvの2乗の関係についてのグラフ選択で、問2で得た式を頼りに考えられるとよい。問5は問2と問4の比較から問題に与えられたグラフの傾きbがb=2aであることに気づければ、重力加速度の大きさgを求めることは難しくない。

第3問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 水熱量計を用いた液体の比熱の測定 標準

昨年同様、A、B分割での出題とならなかった。今年は水熱量計を用いた液体の比熱の測定をテーマに、熱・電磁気分野の融合問題としての出題となった。問1は熱容量に関する基本的な空所補充問題である。確実に得点したい。問2は抵抗で消費する電気エネルギーから変換されたジュール熱と、液体を温度上昇させるのに必要な熱エネルギーを比較する基本的な計算に関する設問である。問3は電流計・電圧計の接続方法に関する設問である。測定したいものに対して電流計は直列接続、電圧計は並列接続で用いるという基本を押さえて、合致する装置図を適切に選ぶ必要がある。問4では問2の計算を比熱cの表現に変えて、数表から時間と温度変化を読み取って行う。問2ができていれば難しくない。問5は理想的な実験条件下での比熱の値と、実際の実験条件での熱エネルギーの損失を考慮した比熱の値の比較および、その誤差を低減する方法に関する設問である。式での表現から、液体が受け取る熱量および液体の質量が比熱の計算値にどのような影響を与えるかを考察したい。2022年本試験にも、水の質量の変更により温度変化の違いを制御できるかという設問が出題されている。

平均点(過去5年分)

年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
平均点 28.72点 28.19点 30.4点 37.55点 33.29点
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