化学基礎

総評と分析

昨年度共通テストと比較して、計算力と思考力が問われる出題が目立った。知識問題については概ね基本的な内容であった。


第1問は、問9bの混合物中の質量の計算がやや煩雑であったが、他は全体として基本的な内容であった。第2問は化学の歴史を題材とした出題であったが、問3bなど一部で思考力と計算力が求められた。

問題分析

大問数 2
設問数 12
解答数 19

問題量

  • 計算問題の数、文章量ともに昨年より少し増加した。計算問題にやや煩雑なものもあり、全体的に見れば問題量としては少し増加した。

出題分野・出題内容

  • 第1問は、化学基礎の各分野から知識ならびに計算処理を問う小問が出題され、第2問は、化学の基本法則や発見の歴史を題材とした総合問題が出題された。
  • 第1問は、教科書レベルの基本問題が中心。問9bのジャガイモ中の水分量の計算問題は煩雑で難しかった。
  • 第2問は、総合問題だが実質的には小問集合形式であった。ただし、問3aの表の数値からの推察、問3bの手間のかかる計算問題など、やや高度な問題も見られた。

出題形式

  • 第1問の問6では正しいグラフを選択させる問題が出題された。第2問の問3aはグラフを書かずとも解答可能であるが、方眼紙が与えられた。第2問の問3bでは、解答の数値自体を答えさせる問題が出題された。

難易度(全体)

  • 第1問は例年どおり小問集合形式であり、全般的に基本的であるが、問9bのジャガイモの燃焼反応からジャガイモに含まれている水の量を求める問題はやや考察的である。第2問は空気に含まれる気体成分に関する総合問題で、問3bの気体の密度の計算問題は思考力を要するが、他は標準的である。全体としての難易度は、昨年並。

第1問 (30点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 3 原子の中性子数
問2 3 ナトリウム塩の性質 標準
問3 3 イオン化エネルギーと電子親和力 標準
問4 3 化学結合
問5 3 密度と物質量 やや易
問6 3 滴定曲線 標準
問7 3 酸の定義
問8 3 酸化還元反応
問9 6 化学反応式の計算 やや難

問1は中性子数を求める問題で基本的。問2は炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムの性質を問うもので、化学を履修していない受験生にはやや難しい。問3のイオン化エネルギーと電子親和力の問題は典型的。問4の化学結合の問題もごく平易。問5の気体の体積を求める問題は密度の使い方がわかれば解ける。問6の滴定曲線の問題は、最終的なpHについて考える必要がある。問7、8は酸の定義と酸化還元反応の基本問題。問9aは基本的であるが、bは最初から含まれている水の量を計算式にどう関連づけるかがポイントである。

第2問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
問1 7 化学反応式の係数、酸素の性質 やや難
問2 6 物質量、単体と酸化物の反応性 標準
問3 7 化学反応式とデータの考察、気体の密度 やや難

空気に含まれる気体成分の発見と質量保存の法則に関する総合問題。問1aの係数を決める問題は簡単には決まらずやや難しい。bの酸素の知識問題は基本的。問2は酸化水銀中の酸素原子の物質量の半分が、酸素分子の物質量に等しいことがわかれば平易。bは金属と酸化物の知識問題で、鉄のさびという常識的な事柄なので解きやすい。問3aは表1で気体の体積が一定になっている意味がわかれば、グラフを描かなくても解ける。bは気体の密度比に関する問題で、立式が難しい。

平均点(過去5年分)

年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
平均点 27.31点 29.42点 27.73点 24.65点 28.2点
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