生物

総評と分析

昨年度共通テストと比較して大問が減少。文章や資料の解析などが分野横断的に出題され、知識や読解力、思考力が総合的に試された。


知識問題や実験考察、資料解析などの読解問題がバランスよく出題され、総合的な理解度を試す内容であった。目新しい形式の出題はみられず、落ち着いて取り組めただろう。

問題分析

大問数 5
設問数 19
解答数 25

問題量

  • 大問数が1題減少し、設問数、解答数とも昨年より1問減少した。問題ページ数も昨年より2ページ減少して26ページとなったため、分量は昨年より減少した。

出題分野・出題内容

  • すべての大問・中問で、実験や観察など未知の情報を読解、考察する問題が出題された。
  • ミクロな視点とマクロな視点を関連させた内容が扱われ、分野横断的に出題された。
  • 単純な知識問題、知識を活用する問題、資料の読解、実験考察問題がバランスよく出題された。
  • 昨年度みられた文字式の選択やシミュレーションの実験などの目新しい問題、および会話文形式の問題はみられなかった。

出題形式

  • 第5問のみA・Bの中問に分かれ、配点が高かったため、昨年より配点のばらつきは増加した。
  • 第1問と第2問では、設問の中で(1)と(2)の小問に分かれる問題があった。
  • 同じ下線部から複数の設問が出題される形式が複数見られた。
  • 昨年同様、選択肢のグループが分割されている問題がみられた。

難易度(全体)

  • 昨年並みであった。分量は昨年度より減少したものの、全ての大問で未知の情報を読解し考察する問題が出題された。

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 動物の受容と反応・遺伝子の変化 やや難

味覚の多様性をもたらす一塩基多型(SNP)をテーマとした分野横断的な問題。問1は神経による情報伝達の仕組みに関する知識問題。問2はSNPの資料から突然変異の順序を読み解くパズル的な考察問題。問3(1)はSNPの資料と遺伝暗号表を用いて、突然変異が生じた塩基の種類を読み解く問題。 (2)は突然変異の位置を求める計算問題。変異の位置は262番目のアミノ酸の2番目の塩基なので、261×3+2=785である。問4は変異が形質にもたらす影響について、与えられた資料から考察する問題。

第2問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
20 生命現象とタンパク質・植物の環境応答 標準

酵素の性質や働きに関する分野横断的な問題。問1はタンパク質やアミノ酸の特徴に関する知識問題。問2は遺伝子組換え実験で行われる細胞選抜に関する考察問題。問3(1)は植物の食害応答をテーマとして、植物が合成する酵素の働きに関する検証実験の考察問題。TD酵素の有無と幼虫Sの体重増加の関係を整理してから考えるとよい。(2)は酵素の非競争的阻害に関する理解が試される知識の活用問題。

第3問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
20 種間相互作用・植物の物質生産 標準

林床に生息する2種の草本の物質生産をテーマとした問題。考察問題では、いずれも複数の図表から必要な情報を読み取ることが求められた。問1は生物が共存可能な条件を問う知識問題。問2はグラフと表を読み取り、2種の草本における呼吸と光合成の速度について考察する問題。問3はクロロフィルやルビスコの量の季節変化と光合成の関係を考察する問題。問4はグラフを読み取り、2種の草本の乾燥重量変化や物質生産について考察する問題。図1のグラフからは、2種の草本が緑葉をつけている期間を読み取る必要があった。

第4問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 カエルの発生・誘導 標準

カエルの発生について、特に誘導に関わるタンパク質に注目した問題。問1は卵形成に関する知識問題。問2は中胚葉誘導の実験考察問題。β-カテニン(タンパク質A)とノーダル(タンパク質B)の関係を踏まえ、結果から行った実験操作を考察する。問3は中胚葉による神経誘導の実験考察問題。BMP(タンパク質C)やノギン・コーディン(タンパク質D)に関する発展的な知識を使うことでも解答することができる。

第5問 (24点満点)

配点 出題内容 難易度
A 13 発芽と光周性・遺伝 標準
B 11 重力屈性 標準

A:発芽や光周性と純系の作出に関する知識問題と考察問題。問1は発芽に関わる植物ホルモンを問う知識問題。問2はフロリゲン量の変化による花芽形成の時期や限界暗期の変化を考察する問題。問3は新しく作出する品種の遺伝子型を考察する問題。両親の遺伝子を持ちつつ、純系なので全ての遺伝子座がホモ接合であることに注意する。B:ラッカセイの子房柄を用いて重力屈性の仕組みを考察する問題。問4は子房の切除とオーキシンの投与から重力屈性の仕組みを考察する問題。問5は特殊な重力屈性が生じる仕組みについて仮説を立てる問題。

平均点(過去5年分)

年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
平均点 54.82点 48.46点 48.81点 72.64点 57.56点
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