数学I,数学A
総評と分析
課程は異なるが、昨年の「数学Ⅰ・数学A」より設定が複雑になっており、解きにくい。外れ値・仮説検定・期待値と、新課程特有の内容が出題された。前の設問の成否に後の設問の成否が連動する形の出題は、この科目としては初である。
第1問〔1〕は数と式・2次関数・集合と命題の3つの単元の内容を含んだ出題である。第2問〔2〕のデータの分析では、外れ値と仮説検定という、新課程になって追加された内容が問われた。第3問は図形の性質からの出題であるが、空間図形を前面に出した形は珍しい。
問題分析
大問数 | 4 |
---|---|
設問数 | 22 |
解答数 | 84 |
問題量
- 問題の分量は昨年よりも大きく増加した。
出題分野・出題内容
- 第1問〔1〕は数と式・2次関数・集合と命題という、3つの単元からの出題である。
- 第1問〔2〕は三角比の問題である。後半の設問はやや誘導が少ないので、思考力も必要になる。
- 第2問〔1〕は2次関数の問題であり、比較的解きやすい設問が並んでいる。
- 第2問〔2〕はデータの分析からの出題である。ネタはインバウンド関連である。(2)で外れ値、(3)で仮説検定の考え方が出題された。
- 第3問は図形の性質の問題である。本格的な空間図形からの出題は珍しい。最後の設問は空間図形に関する力がかなり問われる。
- 第4問は確率の問題である。ゲームへの参加料を期待値という観点から判断するという設定である。
出題形式
- 答えを選択肢から選ぶ問題が第1問で5、第2問で8、第3問で3、第4問で4であったが、それ以外は数値を求めさせる問題である。
難易度(全体)
- 昨年度と同程度の難易度だといえる。問題文に図が与えられている点や、誘導が丁寧である点などは解きやすい要素である。しかし、分量が多く、真面目に読んでいくと時間がかかる。
第1問 (30点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
〔1〕 | 10 | 数と式 | やや易 |
〔2〕 | 20 | 図形と計量 | 標準 |
〔1〕は因数分解、2次方程式の解、根号を含む計算などである。誘導が丁寧であるためスムーズに解きたい。特筆すべきこととして、必要条件・十分条件についての設問が2022年ぶりに出題されたことである。〔2〕は与えられた図などを用いて、図形的な特徴に着目したり、公式を利用したりする問題である。具体的な辺の長さや角の大きさがあまり与えられていないから、その意味では少しやりづらい。誘導に従うだけでなく、思考力も必要である。
第2問 (30点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
〔1〕 | 15 | 2次関数 | やや易 |
〔2〕 | 15 | データの分析 | 標準 |
〔1〕は三つの噴水が表す放物線に関する問題である。実際に問われているのは、放物線とx軸との交点や頂点のy座標、二つの放物線の交点であり、特に難しい部分はない。〔2〕は散布図の読み取り、外れ値、二つの変量の和の分散、仮説検定が出題された。過去問や新教育課程の試作問題をきちんと解いていたかどうかが出来に影響すると推測できる。なお、箱ひげ図やヒストグラムは出題されなかった。
第3問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
20 | 図形の性質 | やや難 |
本格的な空間図形の出題はセンター試験の時代も含めて、極めて珍しい。試験範囲に含まれている以上出題される可能性はあるということを再認識させる題材であったといえる。具体的に問題をみてみると、(1)の証明問題は素直に読めば自然に空欄が埋まる。(2)の(i)(ii)は三角形の相似、方べきの定理を駆使して長さを求める。適当に平面を抜き出して平面図形の問題として考えればよい。ここまでの難易度は高くない。最後の設問である(2)(iii)は正しい真偽の組み合わせを答える問題である。平面において角度が直角になるかどうかを見いだす力に加えて空間における直線・平面などのなす角についての着実な理解も必要となる、総合的な空間把握力を問う問題である。
第4問 (20点満点)
配点 | 出題内容 | 難易度 | |
---|---|---|---|
20 | 確率 | 標準 |
期待値を問う問題であり、昨年同様に設定を丁寧に書いてある。(1)は確率の計算である。ここで、「1回目に当たる確率」、「1回目に当たりは出ず、かつ2回目に当たりが出る確率」、とあるように、確率の与えられ方が特徴的であり、ここで戸惑う受験生もいただろう。(2)(3)は期待値の計算を利用して、くじ引きの料金設定の妥当性についての問題である。(1)の確率を用いるとともに、表を利用して条件を整理することで求めやすくなる。
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