情報Ⅰ

総評と分析

2022試作問題よりもやや難しい。知識よりも、文章の読解と論理的思考能力が求められる問題であった。計算問題でも同様の傾向があり、共通テストが目指す形に沿わせてきた。


全体の傾向として、2022試作問題よりも難易度は少し高くなった。共通テストが指向する、知識を必要とする問題よりも、論理的思考能力が試される問題が多かった。第2問の情報システムや第4問の難易度が比較的高く、第1問や第3問でどれだけ得点できたかが、勝負の分かれ目になったのではないだろうか。また、計算させる問題も散見されたが、この分野特有の知識(データ量や解像度など)を必要とする計算はなく、組み合わせなど論理的に考えれば解ける問題になっていた。

問題分析

大問数 4
設問数 20
解答数 43

問題量

  • 2022試作問題と比べて設問数、解答数はほぼ同じであったが、難易度も高かったため、2022試作問題と同じペースで解答していた場合は時間が不足したのではないか。

出題分野・出題内容

  • 第1問はネットワーク、デジタルおよび情報デザインからの出題であった。7セグメントLEDやチェックデジットの計算は、初見の受験生は戸惑ったかもしれない。その他は容易であったのでここはしっかり得点しておきたかった。
  • 第2問は情報システムとシミュレーションからの出題となった。情報システムではPOSシステムのデータの流れや複数のサービスをまたぐデータ連携のメリットなどが問われた。知識ではなく、理詰めで思考する必要があった。シミュレーションは難易度が高く、ここで時間をとられた受験生も多かったのではないか。
  • 第3問のプログラミングは作業の割当てを題材にしたものであった。初めての共通テストではあるが、難易度は2022試作問題よりもやや高めであったように思われる。コードの実行回数を問う問題もあり、プログラム全体の構造を把握しないで解く受験生には厳しかったかもしれない。ただ、半分程度はプログラミングとは関係ない設問であったので、そこで粘れたかどうかで差が付いたのではないだろうか。
  • 第4問はデータの活用から。グラフの読み取りや箱ひげ図の読み取りについて問われた。標準偏差など、統計の知識を要する内容は問われなかったが、やや数学寄りであり、難易度は高く、数学の該当分野を不得手としている受験生は手こずったのではないだろうか。

出題形式

  • 解答数43問のうち、数値を直接マークする形式のものは14問あり、5問出題された2022試作問題の3倍程度となった。それ以外はすべて選択肢を選ぶ形式。2022試作問題よりも計算をさせる問題が多く、組み合わせ計算などが苦手な受験生は苦労したかもしれない。全体の傾向として、2022試作問題よりも難易度は高く、知識量を問うよりは論理的思考能力を問う形に寄せられており、共通テストが目指していた形に沿うようなものであったと言えるだろう。

難易度(全体)

  • 2022試作問題より難易度は高かった。身近なテーマについて、普段目にするのとは異なる側面から問われたり、その場で情報を与えて考えさせ、図中に正しい数値を入れたり、長い文章を読み解き、含まれる情報を適切に処理して判断することを求められたりする問題が多く見られ、一問一答的な易しい問題は出題されなかった。

第1問 (20点満点)

配点 出題内容 難易度
20 ネットワーク、デジタル、情報デザイン 標準

問1bはIPv6の内容が問われているが、設問文では128ビットであることのみ示されているため、難易度が下がっている。問2は誘導に従って計算し、直接数字をマークさせる形式であり、問われた内容は平易であったが、テーマが見慣れないうえに選択肢がないため、難しく感じた受験生はいただろう。問3も見慣れないテーマであり、初見の受験生は難しく感じたかもしれない。問4aは、誘導文の「ディスプレイの端にある対象物は実質的に大きさが無限大になる」を読み飛ばすと間違える可能性がある。

第2問 (30点満点)

配点 出題内容 難易度
A 15 情報システム やや難
B 15 モデルとシミュレーション やや難

Aは、POSシステムやレシートといった、身近なテーマから出題されたが、普段あまり考えたことがないであろう側面から問われた。問3と問4は、図や選択肢から必要な要件を正確に読み取るのが難しいため、苦戦した受験生が多かっただろう。Bの問1は、設問文の情報を基に表1を埋める必要があり、ややこしいと感じる受験生もいただろう。問2は、図3の横軸の数値の意味を読み取るのに手こずった受験生もいたかもしれない。

第3問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
25 モデルとシミュレーション、プログラミング やや難

全体の流れとして、モデルとシミュレーションの内容から始まり、次いでプログラミングの内容が出題された。25点中10点はプログラミング以外の内容から出題されており、難易度を下げる方策と考えられる。問1は、表1を見て図1を完成させれば得点できるため、易しい。問2以降で、配列の添え字が1から始まっているが、0から始まるケースで準備してきた受験生は面食らい、難しく感じた可能性がある。問2のヒントが問3の誘導文にあるため、気付いた受験生は有利だっただろう。

第4問 (25点満点)

配点 出題内容 難易度
25 データの活用と分析 標準

試作問題と図表の数は同じであり、前の図表から後の図表が作られる様子をトレースすることが要求され、難しく感じる受験生もいただろう。問2の正解選択肢は、「傾向にある」という表現から相関関係だと判断する必要があった。問3のキは、図3から図4を作成する際、縦軸と横軸を人口という同じ値で割っていることに気付く必要があり、間違えてしまった受験生もいただろう。問4は第3四分位数と箱ひげ図の関係について正しく理解している必要があり、数学の統計分野が苦手な受験生は手を焼いた可能性がある。

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