歴史総合,世界史探究
総評と分析
昨年と比較して史資料の点数が増加し、史資料同士を比較して読解させる問題が増加した。資料の一部に漫画が採用された。
第1問の歴史総合部分では、昨年より日本史知識の難易度が上がった。例年通り、史資料が大量に掲載されて知識と読解を組み合わせて解く問題が主体であった。その中の変化として例年よりも文字史料の点数が増加した反面、一点当たりの文章量が減少し、その比較を要求される問題が多かった。目新しい資料として漫画(『ベルサイユのばら』)が採用された。
問題分析
| 大問数 | 5 |
|---|---|
| 設問数 | 32 |
| 解答数 | 32 |
問題量
- 例年通り史資料が多く、問題量の変化は見られない。
出題分野・出題内容
- 西洋史・東洋史という観点では、昨年と同様に、歴史総合が存在している分、日本史を含んだ東洋史の比重が高い。第2問以降だけで比較すると、西洋・東洋の出題数はほぼ同じでバランスがとれている。
- 時代別でも、歴史総合が存在している分、近現代史からの出題がやや多い。昨年よりも第2問以降でも近現代史を出題しようという意識が見られる。
- 分野別では、大問1つが全て税制度からの出題であったこともあって、社会経済史からの出題が大幅に増加した。
出題形式
- 昨年と同様で、正誤の組合せや正しい文の組合せを解答する種類の問題が多かった。今後もこの傾向が定着すると思われる。
- 解答に知識と読解力の両方が必要な問題が多く、知識のみで解ける問題が少なかった。一方、昨年は少なかった読解のみで解ける問題が増加した。
- 地図・グラフ・表・図版が多く史資料の種類が豊富であった昨年に対し、文字史料が増加した。また、昨年は生徒のメモやレポートという形で新規の情報が示されるパターンが多かったが、今年は翻訳された史料を提示する形に戻った。
難易度(全体)
- やや難化。第2問以降の難易度は昨年並みだが、第1問の歴史総合内で問われた日本史の知識が細かくなり、この部分のため少し平均点が下がると思われる。
第1問 (25点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| A | 12 | 近現代における大都市の変容 | やや難 |
| B | 13 | 植民地化されたアジアの都市 | 標準 |
「都市」という切り口で、特にグラフや地図を読み取る問題を中心に出題された。問1は「産業革命」を知識で選ぶ必要があるものの、事実上は読み取り問題に近い。問2は「あ」の選択肢がやや細かい。問3は「東廻り航路」「銀座の煉瓦街」「文化住宅」が用語として細かい。問6は地図を読み取ってあ・いの正誤を判定できれば易しい。問8は円グラフが3つ提示され、読み取りに時間を取られる。「華僑・華人」の項目の有無やノート2の内容から落ち着いて正答を選びたい。
第2問 (21点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| A | 6 | 唐代の法 | 標準 |
| B | 6 | 中世ヨーロッパの慣習法 | やや易 |
| C | 9 | 世界史の中の法廷 | やや難 |
世界史上の法に関する生徒たちの発表を題材にした問題。問1・問7は知識と読解の混合問題。問1、律は刑法、令は行政法。問7、コロヌスの移動禁止令はやや細かいが多数の教科書に記載がある。両問とも読解は易しい。問2・問3・問5は知識問題。問2、会話文中の韓愈や柳宗元は古文復興を唱えた。問5、やや難。「アフリカの角」だけで考えると難しいが、エチオピア西隣や南隣もcであることから、スーダンやケニア等を支配していたイギリスが入ると判断可能。問4・問6は読解問題。史資料を冷静に読み取ることができれば易しい。
第3問 (18点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| A | 6 | フランス革命を題材とした漫画 | やや難 |
| B | 6 | 絵画や風刺画 | 標準 |
| C | 6 | カザフスタンの女性兵士像 | やや易 |
歴史に触れるきっかけや歴史を伝える手段について、様々な資料を用いて出題された。『ベルサイユのばら』が資料として採用された。問1、2、3は知識、問4、5、6は知識と読解の混合。問1はフランス革命期の並び替え。問2はやや難。ヴェルサイユ行進、オランプ=ド=グージュ、ナポレオン法典の家父長制的性格は細かい。問3の『集史』はペルシア語で書かれた。問4は「ゲルニカ」やローズの風刺画などの知識が必要であった。問5のグラフの読み取りは易しい。問6は十月革命の指導者と独ソ戦の年号から正答を導ける。
第4問 (18点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| A | 6 | 古代ローマの「インペリウム」 | 標準 |
| B | 6 | ムガル帝国におけるヒンドゥー教 | 標準 |
| C | 6 | ラテンアメリカにおける帝国的支配 | 標準 |
歴史上の「帝国」のあり方に関する探究活動をテーマとした大問。問1は読み取りによる判断が必要。問2、図Ⅱはユスティニアヌス時代の領域。ローマの「帝国」認識が東西分裂以降も継承されたという会話文の指摘に注意したい。問3、シンプルな知識問題。問4はスーフィズムとウパニシャッド哲学の内容理解が求められた。問5の空欄イに入る語句は資料4から素直に読み取れる。問6、メモがやや長いが、「国民国家」や「地方分権」というキーワードに関する知識から正誤を判断したい。
第5問 (18点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 18 | 税制度と社会変容 | 標準 | |
テーマ上、社会経済史に関係する出題が多くなされた。問1、郷紳についての知識と、パネルの読み取りが求められた。問2、徴税請負制がティマール制にとってかわったことは共通テストのレベルとしては難しい。問3、「リストの主張」については読解で解答可能だが、知識としても知っておきたい。問4、GATTを含むブレトン=ウッズ体制はアメリカが主導し、西側諸国が組み込まれた戦後の国際経済秩序だった。問5は大問全体を踏まえ、読解のみで解く問題だった。資料や各班の事例と各選択肢文の最後の部分を検討して判断したい。
平均点(過去5年分)
| 年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平均点 | 66.12点 | - | - | - | - |

