国語
総評と分析
昨年の共通テストと比べて形式面での大きな変化はない。第1問を除いて、複数のテキストを関連付けて解く問題が出題されており、全体的により本格的な出題内容となった。
第1問(現代文)は、昨年と同様に1つの評論文が出題された。第2問(現代文)は、昨年に引き続き語句の意味を問う問題はなかったが、複数文章を用いた問題が2024年以来2年ぶりに出題された。第3問(現代文)は、文章を中心とする複数の資料をもとに生徒作成の文章を検討する問題が出題された。第4問(古文)は、1つの本文に関する設問が中心の出題形式であった。第5問(漢文)は、本文は複数文章による出題ではなかったが、問7は【資料】と本文とを読み比べる設問であった。
問題分析
| 大問数 | 5 |
|---|---|
| 設問数 | 27 |
| 解答数 | 37 |
問題量
- 第1問(現代文)は約4300字で昨年より500字程度増加。
- 第2問(現代文)は約3700字の本文と、合わせて500字程度の2つの引用文を含むノートの計4200字程度。合計では昨年より100字程度減少。
- 第3問(現代文)は約600字の文章と、約350字のインタビュー記事、絵本の抜粋約550字、約480字の説明的文章。文章量は全体で昨年より100字程度減少。
- 第4問(古文)は、本文は約1000字、問5の引用文は約120字で、合計量は昨年より約120字増加。
- 第5問(漢文)は、本文は161字、問7の引用文は42字で、合計量は昨年より4字増加。
出題分野・出題内容
- 近代以降の文章3題、古文1題、漢文1題という構成は昨年から変化なし。
- 第1問(現代文)は櫻井あすみ「『贈与』としての美術・ABR」からの出題。
- 第2問(現代文)は本文・設問内の引用文ともに遠藤周作「影に対して」からの出題。
- 第3問(現代文)は生徒作成の文章と、山形昌也氏へのインタビュー記事「科学絵本のアプローチ」、大片忠明『イワシ むれで いきる さかな』、東京水産振興会『世界はイワシでできている?』からの出題。
- 第4問(古文)は『うつほ物語』(「蔵開」上)からの出題。
- 第5問(漢文)は長野豊山『松陰快談』からの出題。
出題形式
- 第1問(現代文)は漢字問題と傍線部説明問題からなり、昨年と同様に生徒同士の対話や生徒作成の文章は出題されなかった。
- 第2問(現代文)は複数の文章を用いた問題が2024年以来2年ぶりに出題された。その他は登場人物の様子や心情を問う問題を中心に、本文の表現についての出題もあった。
- 第3問(現代文)は複数の資料を対照しつつ、生徒作成の文章を修正する問題や、加筆の方針を考えさせる問題だった。
- 第4問(古文)は部分解釈や文法、内容説明といったオーソドックスな設問に加え、本文の後の場面と本文の内容をあわせて問う設問が出された。
- 第5問(漢文)は書き下しや解釈、内容説明といったオーソドックスな設問が多かった。設問中に引用文を示す出題形式は、これまで追試験で多く見られたものである。
難易度(全体)
- 昨年と比べて全体的にやや難化。現代文と古文は本文と選択肢の照合に時間がかかる問題が増加し難化。漢文は同程度。
第1問 (45点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 10 | 漢字の識別問題 | やや易 |
| 問2 | 7 | 内容説明問題 | やや易 |
| 問3 | 7 | 内容説明問題 | 標準 |
| 問4 | 7 | 理由説明問題 | やや易 |
| 問5 | 7 | 理由説明問題 | やや難 |
| 問6 | 7 | 内容説明問題 | 標準 |
出典は櫻井あすみ「『贈与』としての美術・ABR」による。昨年と同様、評論文1題が課され、生徒同士の対話や生徒作成の文章を用いた設問は出題されなかった。問1は昨年と同形式の漢字識別問題が5題、問2~問6は傍線部の理解を問う問題。本文は芸術制作について筆者独自の視点から論じた文章で易しくはないが、設問の選択肢は絞りやすいものが多い。
第2問 (45点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 6 | 心情説明問題 | やや易 |
| 問2 | 6 | 理由説明問題 | やや易 |
| 問3 | 6 | 心情説明問題 | やや難 |
| 問4 | 6 | 心情説明問題 | 標準 |
| 問5 | 7 | 表現理解問題 | 標準 |
| 問6 | 14 | 複数文章の内容理解問題 | やや難 |
出典は遠藤周作「影に対して」。昨年同様、小説の一節からの出題である。昨年から設問数は1つ減ったが枝問が増え解答数は同じ。語句の意味を問う問題は昨年に引き続き出題されなかったが、複数文章を用いた出題は復活した。同一出典内における本文とは異なる箇所からの引用文を含む生徒のノートと対話が提示された。母親の人生を回想することを通して自身の生き方を考えているという登場人物の状況を理解する必要があり、丁寧な読解が求められた。この他は昨年同様、登場人物の様子や心情、本文の表現について問う問題が出題され、一部判断に迷うものもあった。
第3問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 5 | 文章を具体的な表現に修正する問題 | 標準 |
| 問2 | 4 | 文章の趣旨にそぐわない表現を削除する問題 | 易 |
| 問3 | 11 | 複数の資料比較を踏まえ加筆の方針を考察する問題 | 難 |
一冊の絵本をめぐって、編集者へのインタビュー記事や関連する説明的文章を読み比べながら、生徒が絵本に見られる工夫について自分の考えを文章にまとめていくという設定で、示された文章の表現修正や加筆の方針などを検討させる問題。昨年はグラフが複数提示されたが、本年の資料は文章が中心だった。問3は2つの資料を複数の観点から比較してそれぞれの特徴を把握した後で、比較結果の分析と論述の方針を考えさせているが、選択肢の数が多かったり選択肢の文が長かったりするため、正解の判別で戸惑うところがあったと思われる。
第4問 (45点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 15 | 傍線部の解釈問題 | 標準 |
| 問2 | 7 | 語句と内容に関する説明問題 | 標準 |
| 問3 | 7 | 内容説明問題 | 標準 |
| 問4 | 8 | 内容説明問題 | やや難 |
| 問5 | 8 | 後の場面と関連付けた内容説明問題 | やや難 |
出典は平安時代の物語『うつほ物語』。複数テキストによる設問は、昨年まで続いていた別作品や古歌との関連付けではなく、同作品中の別場面の会話を踏まえた内容理解問題として出題された。生徒の対話や資料の提示もなく、シンプルな設問形式となっており、センター試験時代の出題に近い。問2は傍線部の語句と内容を問う設問で、一昨年までの形式に戻っている。また、共通テストの本試験では初めて、和歌に関する設問が無かった。本文は読みやすいものの登場人物が錯綜しており、主語の正確な把握が正誤判定の鍵となった。
第5問 (45点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 8 | 語句の意味問題 | 標準 |
| 問2 | 6 | 傍線部説明問題 | やや難 |
| 問3 | 5 | 返り点と書き下し文の問題 | やや難 |
| 問4 | 5 | 傍線部解釈問題 | やや易 |
| 問5 | 6 | 傍線部解釈問題 | 標準 |
| 問6 | 7 | 内容説明問題 | 標準 |
| 問7 | 8 | 複数資料の内容理解問題 | 標準 |
本文は江戸時代の漢学者による文章で、問7の【資料】は同一著作の別の箇所からの引用。日本人の漢文からの出題は2年連続である。昨年と比較すると、本文を読解させる設問が増えている。問1から問6までは総じて漢文の試験問題として標準的な形式・難易度であるが、問7は複数の資料を読み比べる共通テストらしい設問。予想問題や過去問を解いて対策を積んできた受験生は、問題無く対応することができたであろう。
平均点(過去5年分)
| 年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平均点 | 126.67点 | 116.5点 | 105.74点 | 110.26点 | 117.51点 |

