化学
総評と分析
昨年の共通テストと比較して、思考力を問う設問が減少し、標準的な計算問題や基本的な知識を問う設問が増加した。
全大問を通じて、標準的な計算問題や基本的な知識問題が増加し、文章量も減少したため、得点しやすい出題であった。一方で、教科書に掲載されていないような化合物を題材とする設問も引き続き出題された。
問題分析
| 大問数 | 5 |
|---|---|
| 設問数 | 22 |
| 解答数 | 33 |
問題量
- 昨年と比べ、ページ数は4ページ減少した。また、計算問題の設問は減少した一方で、知識問題の設問は同程度であり、有機化合物の構造を考察する設問はやや増加した。全体として問題量は減少した。
出題分野・出題内容
- 第1問は物質の構成、物質の状態、第2問は物質の変化からの出題でいずれも主に理論分野であった。第3問は物質の変化、無機化学、第4問は有機化学からの出題であった。第5問は身のまわりに使われている化学物質を題材とした小問集合であった。
- 煩雑な計算問題やグラフを用いる設問が減少した。
- グルタチオンやポリイミドのような、教科書に掲載されていない有機化合物を題材とした出題が見られた。
出題形式
- 昨年に続き、第1問の問5、第4問の問5、第5問の問2など、比較的長文の問題を読み取り、関連する設問を複数配置する大問形式の問題が出題された。
- 第4問の問5bで、「正しいものはない。」という選択肢が2022年共通テストの追試以来、設置された。また、今年は答えの数値自体を解答させる設問は出題されなかった。
難易度(全体)
- 昨年に比べ易化した。解答数が減少した上に、計算問題や考察が求められる問題が減少し、基本的な知識の理解を問う問題の比重が増したことで時間的な余裕が増えた。一方、見慣れない題材を扱う問題も目立った。
第1問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 3 | 化合物の構造と性質 | 易 |
| 問2 | 3 | コロイドの凝析 | 標準 |
| 問3 | 3 | 固体の溶解度と溶解平衡 | 標準 |
| 問4 | 3 | 結晶の単位格子の断面図 | 標準 |
| 問5 | 8 | 反応の量的関係、気体の圧力 | 標準 |
問1は条件から化合物を選ぶ問題で平易。問2はコロイドの凝析に用いる電解質の選択で、コロイド表面と逆の電荷かつ価数が大きいものを選ぶことを知っているかが問われた。問3は固体の溶解度と溶解平衡の知識を問う基本問題であるが、知識があやふやだと危うい。問4は六方最密構造の断面図を問う問題だが、図を見て冷静に判断すれば問題ない。問5は気体反応の量的関係と圧力に関する問題で、aは空気を用いることに注意する必要があった。bは体積一定下では気体の圧力が物質量と絶対温度に比例することを利用すれば簡単に計算できる。
第2問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 3 | エンタルピー | やや易 |
| 問2 | 4 | 電気分解の量的関係 | やや易 |
| 問3 | 4 | 反応速度定数 | 標準 |
| 問4 | 9 | 塩の水溶液と緩衝液 | やや易 |
問1はエンタルピーの定義に関する知識問題で平易。問2も陰極で反応する物質が2つであるものの、求められている内容は至って基本的である。問3は表にまとめられた測定結果から反応速度定数を求める問題で、教科書や参考書などでよく扱われる標準的な問題である。問4はaで塩の水溶液の液性、bで緩衝液の仕組みが問われたが、いずれもこの分野における基本的な内容である。
第3問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 3 | 水素原子の酸化数 | 易 |
| 問2 | 3 | リンの性質 | やや易 |
| 問3 | 3 | 金属の原子量 | 標準 |
| 問4 | 3 | 周期表と遷移元素 | やや易 |
| 問5 | 8 | 溶解度積、金属イオンの分離 | 標準 |
問1は水素原子の酸化数、問2はリンの性質と平易な問題であった。問3は水和水の脱離では化合物自体の物質量が変わらないことに気付けば正答にたどりつける。問4は遷移元素に関する基本的な知識が問われた。問5aは硫化水素の電離平衡と硫化物の溶解度積を組み合わせた、国公立2次や私大の試験でよく見られる問題であり、このような問題を解いたことのある受験生には容易な問題だったであろう。bは金属イオンの分離操作の選択問題であり、操作と沈殿生成の有無を正確に理解している必要があった。
第4問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 3 | 有機化合物の反応 | やや易 |
| 問2 | 4 | 有機化合物の構造決定 | 標準 |
| 問3 | 3 | 構造異性体の数え上げ | 標準 |
| 問4 | 4 | 糖類の性質 | やや易 |
| 問5 | 6 | グルタチオンの構造と性質、グリシンの電離平衡 | 標準 |
問1は反応と生成物の正誤問題だが、いずれも教科書に記載のある反応である。問2は提示された条件からの構造決定で、条件に合わないものを1つずつ弾いていけば正答にたどりつける。問3は典型的な異性体の数え上げ。問4はトレハロースやもち米でのデンプンの組成など、見慣れない題材が出題されているが、解答の難易度には大きく影響しない。問5aもグルタチオンという目新しい化合物が題材となっているが、問われているのはペプチドの標準的な知識である。bはグリシンの電離平衡におけるpHとイオンの構造に関する標準的な問題であった。
第5問 (20点満点)
| 配点 | 出題内容 | 難易度 | |
|---|---|---|---|
| 問1 | 6 | クロムとその化合物、ケイ素とその利用 | 標準 |
| 問2 | 7 | イミドと構造決定 | やや難 |
| 問3 | 7 | エステルの加水分解と構造決定、エステル合成の平衡定数 | 標準 |
問1はクロムとケイ素を題材にした正誤問題で、特に難しい知識は問われていない。問2はポリイミドの合成を題材とした構造決定で、題材としては目新しいが、問題文で与えられた構造式と反応式をもとに丁寧に考えていけば正答にたどりつくことは難しくない。問3はエステルの加水分解を利用した構造決定とエステル化反応の平衡定数の計算で、いずれも標準的な内容である。
平均点(過去5年分)
| 年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平均点 | 45.34点 | 54.77点 | 54.01点 | 47.63点 | 57.59点 |

