数学Ⅱ,数学B,数学C

総評と分析

昨年と問題量・難易度ともに同程度であるが、今年は答えを選択肢から選ぶ問題が大幅に増加した。


昨年の指数関数・対数関数の問題に代わって、図形と方程式が出題された。第7問は複素数平面が中心であったが、昨年とは異なり、解答には2次曲線の知識も求められた。また、昨年同様、試験時間70分ですべての問題に取り組むのは難しいだろう。

問題分析

大問数 7
設問数 31
解答数 105

問題量

  • 必答問題については、昨年とほぼ同程度の分量であった。選択問題については、昨年とは異なり、どの問題を選択しても分量にほとんど差はなかった。

出題分野・出題内容

  • 第1問は図形と方程式からの出題である。(1)は2つの円の半径と中心間の距離を求める設問、(2)は2つの円の共通弦についての設問である。(3)は(1)、(2)の誘導にしたがって絶対値を含む不等式の表す領域を考察する設問である。
  • 第2問は三角関数からの出題である。(1)で和を積に直す公式を導出し、(2)と(3)で公式を用いて正弦の和で定まる関数の最大値を求める問題である。特に難しいところはなく、落ち着いて完答したい。
  • 第3問は微分法・積分法からの出題である。(1)と(2)は独立しており、(1)は3次関数の極値、グラフの概形、面積についての問題で、問われていることは例年とほぼ同じである。一方、(2)はグラフが原点を通る3次関数について、さらに導関数の条件を与えたときのグラフの概形を考察する問題である。計算はほとんど必要なく、本質的な理解が問われている。
  • 第4問は数列からの出題である。(1)は階差数列の基本であり、ここは必ず得点したい。(2)はよくある(等差数列)×(等比数列)の形の数列の和を求める問題である。誘導に乗らなくても(2)は解けるが、ここで階差数列の考えを用いる誘導に乗らないと、(3)で詰まってしまう。
  • 第5問は確率分布と統計的な推測からの出題である。ある自治体で行われた資格試験の得点分布を題材とした問題である。例年通り、正規分布に従う確率変数に対する確率や、二項分布に従う確率変数の期待値や分散の設問が続いた。一方で仮説検定の設問では、両側検定ではなく片側検定が取り上げられた。
  • 第6問は平面ベクトルからの出題である。ベクトル方程式で定まる点について、係数をそれぞれ変化させたときの点の位置や存在範囲を考察する問題である。難易度は標準的であるが、多くの受験生が苦手とする題材のため、得点は伸びにくいと思われる。
  • 第7問は複素数平面と平面上の曲線からの出題である。分数式で定まる複素数が描く点の軌跡を誘導に従って考察する問題である。昨年の追試験と同様に、軌跡が楕円となる設問が登場した。

出題形式

  • 答えを選択肢から選ぶ問題の数が第1問で6、第2問で11、第3問で14、第4問で5、第5問で11、第6問で12、第7問で7であり、それ以外は数値を求めさせる問題である。

難易度(全体)

  • 難易度は昨年と同程度である。分量も昨年と同程度で適切である。題意を読み取るのに苦労する箇所は無い。必答問題である第1~第3問はいずれも後半は若干難しく、試験場では焦る可能性が高い。かつては、選択問題は手間がかかるケースが多かったのだが、3年前からは難易度が控えめとなり、本年度も同様である。昨年と異なり、全体として大問・小問ごとの難易度の差が大きい。選択肢を選ぶ設問が頻繁に登場するのも、昨年と同様である。

第1問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
15 図形と方程式 標準

昨年は、三角関数の出題であったが、本年度は図形と方程式からの出題であり、受験者によってはそれだけで焦ったものと思われる。根軸という国公立大2次・私立大対策ではおなじみのテーマであり、受験生には苦手意識を抱くものが多かっただろう。前半は、半径を求めたり、領域を図示したりする内容で、基本的なので落ち着いて解答したい。後半の(ⅲ)も落ち着いて選択したい。

第2問 (15点満点)

配点 出題内容 難易度
15 三角関数 標準

昨年は、指数関数・対数関数の出題であったが、本年は三角関数であった。いわゆる和積公式を用いていくだけの「計算問題」的な内容なので、点が取りやすいのだが、実際には和積公式自体に苦手意識を抱いていたり、あまり慣れていなかったりして苦戦した受験生と、早々と満点を獲得した受験生に分かれたかもしれない。(1)(2)はかなり易しい。(3)の3つの関数の和は、誘導が非常に大きなヒントとなっていて難しくは無いのだが、それに気づけたかで差がつくだろう。計算は楽である。また、3つの関数の和を求めたのちは「オマケ」である。

第3問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 微分法・積分法 標準

昨年に微積分が第2問から第3問へと移動して、配点も30点から22点へとかなり縮小した。それは本年度も踏襲された。(1)(ⅰ)(ⅱ)非常に基本的である。グラフを選ぶ設問も簡単である。(ⅲ)「2つの面積が等しいときは、積分して0」を用いる、あまりにも定番的な内容である。3次関数の積分計算が必要になるが、それも含めて楽である。(2)本年度のセットの中では比較的取り組みにくい。パズルを解く感覚で選ぶことが大事なのだが、かなり真面目に取り組んで時間を消耗してしまった可能性がある。最初に3つを選択するところは比較的簡単である。それ以降は、選んだものの中から、落ち着いて「外していく」作業となる。全体を通して、計算はほとんど必要ない。

第4問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 数列 標準

昨年と同様、漸化式が全く出題されなかった。かなり定番的な階差数列の問題であり、落ち着いて計算ができるかが問われる。考え方そのものは難しい要素が無い。(1)教科書の例題レベルである。(2)「一般項を推測して求める」問題であるが、推測そのものが問題文で与えられているので、計算するのみである。計算自体は本年度のセットの中で多い方である。計算ミスのないように計算したい。(3)では、推測したものの形は与えられていないが、(2)があるので、推測しやすい。計算は(2)よりも面倒である。

第5問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 確率分布と統計的な推測 標準

試験の得点の平均、分散等の値から合格者の割合を推計したり、合格者の割合に対する仮説検定を行ったりする問題である。設問(2)(ii)までは基本手順に従えば解答できるが、(3)については少し応用的である。(1)正規分布と標準正規分布の関係性をもとに、Xの不等式をYの不等式に変形しよう。(2)(i)0または1しか値をとらない確率変数は、2乗しても値が変化しないので「2乗の平均=1乗の平均」が成り立ち、これを用いて計算してもよい。(2)(ii)、(3)標本平均の標準偏差がnの2分の1乗に反比例することを理解していれば非常に簡単になる。ただしこれは少々覚えにくいので、標本平均の定義式をもとに分散の値が「n個の和を取ってn倍→nで割ってnの2乗分の1」と変化する、と理解するのもよいだろう。

第6問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 平面ベクトル 標準

昨年は空間ベクトルから出題されたが、本年度は平面ベクトルであった。内積計算が一切ないのが特徴的である。取り組みやすい問題である一方、ベクトルの領域は苦手な受験生も多い。(1)(2)は計算らしい計算もなく、特に鉛筆が止まる要素は無い。(3)(ⅰ)は非常に易しい。(ⅱ)も難しくないが、苦手意識を抱くものが多いはずなので、落ち着いて、答えを選択したい。

第7問 (16点満点)

配点 出題内容 難易度
16 複素数平面・平面上の曲線 標準

昨年は「複素数平面」単独であったのに対して、本年度は「複素数平面」「平面上の曲線」の融合問題であった。融合問題とはいうものの、比較的国公立大2次・私立大ではなじみのある問題であり、それほど難しくは無い。(1)(2)(ⅱ)までは簡単である。(2)(ⅲ)も解法が問題文で示されており、至れり尽くせりである。(3)であるが、計算を行う必要が無いことに気づけると時間が節約できる。(2)(ⅲ)の結果を用いること、そして最後に2を足すことを忘れないように注意が必要である。

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