公共,政治・経済

総評と分析

出題内容・形式ともほぼ昨年を踏襲したが、2022年公表の試作問題にあった出題形式が復活。出題内容もバランスのとれた出題だった。


出題の内容・形式ともほぼ昨年を踏襲。2022年公表の試作問題にはあった任意選択・連動型の設問が登場した。公共分野の2大問では昨年に目立っていた学習内容と関係ない資料読解問題が消滅。政経分野の4大問では政治分野が少なく経済分野が多いなどのアンバランスが比較的均等になるなど、改善された。

問題分析

大問数 6
設問数 32
解答数 34

問題量

  • 問題量としては昨年(2025本試験「公共、政治・経済」)にほぼ等しい。ただ、新課程向けに2022年に公表された試作問題「公共、政治・経済」にはあった任意選択・連動型((1)で自ら選んだ立場から考えて、(2)で適当な記述の組合せを見出す形式)の設問が二つあって解答数が二つ増え、わずかながら負担増となった。

出題分野・出題内容

  • 公共分野の第1問(「公共」の第1問)・第2問(「公共」の第4問)は順に、社会保障制度と、現代の文化・宗教がテーマ。政経分野の設問と、ロールズの格差原理など倫理分野の設問とがバランス良く出題され、昨年に目立っていた学習内容と関係ない資料読解問題は見られなかった。
  • 政経分野の4大問はいずれも政治・経済の融合問題で、そのうち一つは昨年につづき国際政治・経済の大問であった。また、昨年は小問数で政治分野が少なく経済分野が多かったのに対し、両者のバランスが比較的均等であった。

出題形式

  • 正文または誤文を選ぶだけ(資料なし)の単純な正誤判定問題の小問数は昨年の3から7へと増加し、該当するものをすべて選ぶ組合せ問題の設問数は昨年の4から3へ減少して、受験生には負担減になった。そのほか、任意選択・連動型の出題が特筆される。
  • それ以外は例年どおり、設問中の文章の空欄補充問題、図表問題、その他の組合せ問題で構成された。

難易度(全体)

  • 昨年と同程度。昨年目立った、学習内容と関係ない資料読解問題が減ったほか、知識問題の分量が微増した。その一方で、昨年は大問別の平均得点率で最低だった第6問が、かなり易しくなっている。

第1問 (12点満点)

配点 出題内容 難易度
12 社会保障制度 やや易

「社会保障制度の現状と課題」についての講演会を題材に、経済分野を中心として様々な分野から出題された。問1は災害が発生した際の「公助」の具体例と、ロールズの「格差原理」を社会保障制度に適用した場合の考え方を選ぶ問題。問2は経済指標と経済成長、税制についての知識問題。問3は各国の社会保障財源の対GDP比についての表の読み取り問題。問4は社会保障の四つの柱のうち、社会保険と公的扶助についての知識問題。

第2問 (13点満点)

配点 出題内容 難易度
13 現代の文化・宗教 標準

グローバル化が進む現代社会の文化や宗教についての探究活動を題材に、様々な分野から出題された。問1は文化の捉え方・考え方についての知識と、会話文の流れから、空欄に入る記述を選ぶ読解力が必要な問題。問2は二つの資料の内容についての三つの意見のうち、資料を正しく読み取れているものを選ぶ問題。問3は日本における政教分離をめぐる最高裁判所の判例についての知識問題。問4は伝統や文化との関わりについての知識と、宗教の捉え方が二つ示され、会話文で示された事例はどちらに通じるところがあるかを判断する読解力が必要な問題。

第3問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 国際社会の課題 標準

問1は異なる2国が掲げる貿易政策のねらいを含む記述を選ぶ問題だが、近年の本試験では見られなかった任意選択・連動型の出題で、戸惑ったのではないか。問2は最恵国待遇についての知識問題。問3は2000年以降における世界のサービス貿易の動きを示している記述を二つ選ぶ組合せ問題。問4は国連機関の仕組みと活動に関する知識問題。問5は多国間条約の運用上の特徴についての組合せ問題。問6は国際紛争に対する国連の対応について、時事問題(イスラエルとパレスチナ)を絡めた会話文の空欄補充組合せ問題。問1で形式的な変化があったが、概ね標準的と言えるだろう。

第4問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 日本の経済政策 標準

問1~問3は経済分野からの出題。問1は経済成長率の理屈(物価を考慮するか)と、リーマンショックの時期がわかれば易。問2は日本版金融ビッグバンとアベノミクスの特徴に関する会話文の空欄補充組合せ問題。問3は日本における投資部門別株式保有比率の推移のグラフを踏まえた、文章中の空欄補充組合せ問題。問4~問6は政治分野からの出題。問4は架空のねじれ国会と衆議院の優越に関する記述の正誤を判断する問題。問5は日本国憲法下での経済的自由に関する知識問題。問6は裁判所が違憲審査権を行使すべきか否かの任意選択・連動型の出題。問6でまたもや形式的な変化があったが、概ね標準的である。

第5問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 地方自治と企業等 標準

6小問のうち半数は経済分野の設問。問1は知識不要の統計数値問題なので、アの誤り(2023年の市区町村数1,741は1999年の3,252の半分超)などきちんと計算で確認したい。問2では「規模の経済」の理解が問われた。問3では慌てると②の記述も適当に見えるが、同じく依存財源である「国庫支出金の削減分=地方交付税の増加分」だと気付くと増えないことが分かる。問4(リコールなど)は易しいが、問5(宿泊税の比較と需要の価格弾力性)や問6(日本のNPOや企業)は応用問題・知識問題だと言える。

第6問 (19点満点)

配点 出題内容 難易度
19 地球規模の課題

小問の多くは国際経済分野の設問。問1は、たとえ知識がなくても「多額の資金を借り入れ、累積債務が深刻化した貧困国」という記述から直ちに正解が分かるという極めて平易な設問。問2は知識問題ではあるが、カードa(国連人間環境会議)→b(国連環境開発会議)→c(気候変動枠組み条約の京都議定書)→d(生物多様性条約の名古屋議定書)→「最後に起きた」e(気候変動枠組み条約のCOP28:2023年)という流れは正確に把握しておきたい。問3は、図1で増えつつあるイがクリーンエネルギー、図2で減りつつある三者が多い順にアメリカ>EU>日本だとすぐ分かるので易しい。問4・問5は、知識がなくても会話文など設問の誘導に素直に従えば分かるので易しい。問6は知識問題ではあるが、メモ中の「非国家主体による運動」にパグウォッシュ会議が含まれること、そして米ソ・米露の二国間条約である戦略兵器削減条約と、核兵器禁止条約という多国間条約の成立にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)というNGO(非政府組織)が貢献したという違いは把握しておきたい。

平均点(過去5年分)

年度 2025年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度
平均点 62.66点
ADOBE READER ダウンロード

PDFファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社が配布しているAdobe Reader(無償)が必要です。
Adobe Readerをインストールすることにより、PDFファイルの閲覧・印刷などが可能になります。